ウクライナ支援を無言で訴求。米アップルが発表会で見せた「立ち位置」

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毎回注目されるアップルの新製品発表イベント。3月8日に実施されたティム・クックCEOによるプレゼンは、製品の内容とは別に、世界を代表する企業が社会的責任をどうアピールするかという問題において、手本となるものだったようです。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、アップルが見せた無言のウクライナ支援や女性活用、環境への配慮の姿勢について紹介しています。

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バンドとニットでウクライナ支援を訴求するティム・クックCEO──発表会のプレゼンに垣間見える企業のスタンス

今回のアップルスペシャルイベントは新製品の発表がてんこ盛りだったにも関わらず、時間的には1時間弱で収まっていた。深夜3時から視聴となる日本にとってはありがたい時間配分であった。

コロナ禍で事前収録したビデオを配信するいまのスタイルになってからというもの、冒頭だけでなく、途中にユーモアたっぷりの映像が流れるというのがお決まりになっていたが、今回の配信は淡々と新製品紹介が続くという、面白みには欠けた内容となっていた。やはり、いまの世界情勢を意識して、過剰な演出は控えたのか。

特に冒頭にウクライナ情勢に対してティム・クックからコメントがあるかと思いきや、一切スルーで、いきなりイベントの本題に入ったのも意外な感じがした。ただ、ティム・クックCEOが妙に黄色が印象的なAppleWatchのバンドを装着していたり、いつものとは異なるブルーのニットを着ていたことから、無言でウクライナの支援を表明していたのではないかと推測される。

確かにアップルだけでなく、国際的な企業とすればロシアは重要な市場であるのは間違いない。戦争には反対し、事業を一時休止するのは当然なものの、平和が訪れれば、また事業を再開する流れになるだろう。ロシアを刺激することなく、ウクライナを支援するにはティム・クックCEOがとったような無言の表明が最も適しているのかも知れない。

また、スペシャルイベントでは、製品の紹介において、数多くの女性が登場していたのが印象的であった。アプリの開発者でも女性ばかりが出演。折しも、3月8日(現地時間)は「国際女性デー」でもあったが、それとは関係なく、ここ数年、アップルのイベントは女性の活躍が目立っている。

また、製品が発表されるごとに「いかに環境に配慮して製造しているか」をアピールするのも、もはや定番となっている。アップルは昔から、環境に配慮しているというのを紹介しているが、このやり方が、他のメーカーにもきっちりと波及している。

世界的に注目される新製品発表会だけに、様々な方面への配慮が行き届いているように感じた。単なる新製品紹介では終わることなく、いかに世界を代表する企業として、社会的責任をさりげなくアピールするか。アップルのスペシャルイベントはまさに、そのお手本のような仕上がりとなっていた。他社がここまで真似するのは難しいが、今後のトレンドになりそうな発表会の姿勢であったことは間違いないだろう。

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image by:John Gress Media Inc/Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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