1.令和4年2月に58歳になったA夫さんは、今までの年金加入記録は国民年金24年と厚生年金8年です。現在は保険料を未納にしています。
厚生年金は20代の時に加入していましたが、その後は父の店を継ぐようになってずっと国民年金に加入しています。過去の給与平均は25万円とします。
A夫さんは令和4年3月10日の未納期間中(国民年金加入中)に私傷病で他界しました。
死亡時に残された遺族は54歳の妻と、16歳の子1人です。
なお、妻はA夫さん死亡時は同居しており、妻の前年収入は自営業として約700万円ほどありました。
この妻や子には遺族年金は支給されるのでしょうか?
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(A夫さんの生年月日ですが、令和4年がもし昭和だったら昭和97年になるので、97-58歳=昭和39年2月が生年月日です)
さて、死亡したA夫さんの年金記録を見てみると、すでに25年以上の未納以外の年金記録があるので過去の保険料納付記録は見ません。
既に老齢の年金の受給資格期間を満たした者の死亡という事になるからです。
また、A夫さん死亡時に原則として住民票が同じだとか妻の年収が850万円未満である必要がありますが、それは満たしています(A夫さん死亡以降に年収が850万円を超えてもそれは遺族年金に影響しない。死亡時点しか見ない)。
では何の年金が貰えるのかというと、この妻は18歳年度末未満の子が居るので遺族基礎年金と、A夫さんが加入した8年分の遺族厚生年金です。
・遺族基礎年金→777,800円(令和4年度定額)+223,800円(子の加算)=1,001,600円
・遺族厚生年金→25万円×5.481÷1,000×96ヶ月÷4×3=98,658円
よって、遺族年金総額は1,100,258円(月額91,688円)となります。
その後は子が18歳年度末を迎えると、遺族基礎年金は消えるので遺族厚生年金年額98,658円(月額8,221円)のみとなります。
子が高校卒業した後はガクンと年金が減りますね^^;
過去の年金記録が25年以上ある人が死亡した場合に厚生年金期間があれば、その厚生年金は遺族厚生年金として支給されますが最低保障はなく実際の加入期間で支払われます。厚生年金期間が少ないとかなり低い遺族厚生年金額になってしまいます。
なお、A夫さんに過去の厚生年金期間が20年以上あったならば、子が18歳年度末を迎えた後に40歳以上なので妻の遺族厚生年金に年額58万3,400円(令和4年度価額)の中高齢寡婦加算が加算されていました。