次に遺族厚生年金ですが、こちらは過去の厚生年金加入期間や加入時の給与や賞与額が年金額に影響します。
その前にまず遺族厚生年金を受給する要件として、次の4つがとても重要です。
ア.老齢厚生年金受給者もしくは老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者の死亡(原則25年以上の年金期間がある)
イ.厚生年金加入中の死亡
ウ.障害厚生年金2級以上の受給者の死亡
エ.厚生年金加入中の初診日の傷病で5年以内の死亡
のどれかを満たしている必要があります。
さらに、イとエは死亡の前々月までの間に一定の保険料納付要件を満たしておく必要があります。
前々月までに国民年金の被保険者期間がある場合は、その3分の1を超える未納があったら遺族厚生年金を貰う事は出来ません。
この要件は最初に書いた遺族基礎年金の場合も必要になってきます。
年金は保険なので、死亡という保険事故が起きる前にちゃんと自分の努力である程度保険料を納めてきましたか?というのを見られるわけです。
例えば20歳から国民年金に加入して保険料を納めなければいけなくなりますが、仮に死亡したのが32歳の時であれば12年間のうち8年間は未納にしてはいけないよという事ですね(4年間の未納)。
もし3分の1を超える4年1ヶ月以上の未納があれば、遺族年金は請求不可となります。
ついでに上記のアとウについてですが、アはもう25年も保険料を納めたもしくは免除期間があるからわざわざ過去の納付記録は見なくていいよねという事ですね。
ウは障害厚生年金の受給者が死亡したら、過去の納付記録は見ませんという事です。
障害厚生年金を請求する時に一度過去の納付記録を見るので、遺族年金を支給するかどうかという時にまた過去の納付記録を見るような二重な事はしないという事です。
また、イ~エの場合の死亡の場合の遺族厚生年金は最低保障として300ヶ月で計算されますので、あんまり年金額が低くなりすぎるのを防止しています。
なお、遺族厚生年金を受給できる資格がある人は、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順で最優先順位者が受給します。
ただし夫や父母、祖父母が受給者になろうとする場合は、本人死亡時に55歳以上でなければいけません。そして実際の受給は60歳からという結構厳しい制限があります。
妻にはそういう制限は無い(子は18歳年度末未満である必要がある)。
さて、遺族年金を受給してる人はとても多いのですが(遺族厚年は約500万人で、遺族基礎は十数万人くらい)、人によって結構金額の違いがあります。
遺族基礎年金は定額なので、金額の違いがあるとすれば子供の人数の違いだったりするのですが、遺族厚生年金は過去の給与額とか加入期間や最低保障を付けたりするので金額はバラバラです。
よって、死亡した家族が同じくらいの加入期間だったのに、金額が全く違う!という事もあります。
なんでそんなに金額が違うのか、一例で簡単に比較してみましょう。