黒柳徹子から山中伸弥教授まで。なぜ大物著名人が続々登場する致知出版社「無料メルマガ」から生まれた書籍は30万部以上も売れたのか?

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2006年から16年近くにわたって配信を続けている無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』。毎回、日本の財界人からノーベル賞受賞者、国民的スポーツ選手、有名料理人など多くの著名人のインタビュー記事の一部と、読むたびに心を動かされる印象的な言葉や名言を紹介しているメルマガです。2020年に第一弾として、過去に配信されたメルマガの名言などをまとめた書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が35万部を超えるベストセラーとなった致知出版社さんですが、3月には第二弾となる新刊『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』を発売しました。なぜ著名人の名言を集めた本がこれだけ売れるのか、そして多くの重鎮や有名人に毎回ご登場いただけるのか、さらに長年メルマガを続けられる秘訣など、同社書籍編集部の小森俊司さんにお話を伺いました。

44年も前から続く老舗雑誌、月刊『致知』

──まずは、致知出版社さんについて簡単にご紹介をいただけますでしょうか。

致知出版社・小森俊司さん(以下、小森)弊社の創立は1973(昭和48)年ですが、主力はなんといっても月刊誌の『致知』で、1978年の創刊以来、「人間学」をテーマに44年間にわたって発刊を続けてきました。『致知』は毎月1冊、読者の方へ直接お届けする定期購読誌で、国内外に11万人以上の熱心な愛読者がおられます。

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月刊『致知』表紙。山中伸弥教授や稲盛和夫氏など、毎号著名人の貴重な言葉が並ぶ

「人間学」という言葉を初めて聞かれる方もあるかもしれませんが、平たく言えば“人間性を高める学び”のことをいいます。雑誌だけでなく、弊社から発刊される書籍もすべてこの「人間学」をテーマとしています。いつの時代にも変わることのない、人間にとって大切な生き方とは何かを主軸にして、出版活動を続けてきました。

発刊わずか1年で30万部を突破した著名人の言葉集

──ありがとうございます。そして、第一弾の1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』ベストセラーおめでとうございます。424ページ、2,500円を超える書籍が1年間で30万部を超えることは異例中の異例だと思いますが、ここまで売れた理由は何が要因だと思われますか?

小森「すべてのページに感動があった」ということではないかと思います。本書は、1日1話1ページの形式で、書名の通り、読めば心が熱くなるお話ばかりを365名分、収録しています。

その中の誰一人として、心が熱くならないお話がない。どのページから読み始めても必ずそこに感動がある。

本書は書店で特によく売れているのですが、皆さんも本を買われる前は必ず立ち読みをされると思うんですね。その開いた1ページで読み手の心を鷲掴みにしてしまう。次のページを開いても、そのまた次のページを開いても、やっぱりすごいことが書いてある。胸が熱くなる。そんなふうにして思わず本をレジに持って行かれる人が多いのではないかと思います。

その分、編集する側は本当に大変で、365本にしたいからといって、1ページとして数合わせのようなことはしなかった。登っても登っても頂の見えない365という山を、一歩ずつ、一歩ずつ地道に登っていくという営みでしたが、そうして醸成された時間こそが、この本のコクとなって、いつまで経っても独特の香りを放っているのだと思います。

また、自分自身が若い頃に出合って、ずっと心に残っていた言葉があります。映画監督の黒澤明監督が名画『七人の侍』を撮る時に「ステーキの上にうなぎのかば焼きを乗せ、カレーをぶち込んだような、観客がもう勘弁、腹いっぱいという映画を作ろうと思った」と述べたそうですが、ページを開くたびに次から次へと感動が押し寄せてきて、胸がいっぱいになる。そんな圧倒的な感動を味わえる本を作りたいと思いましたし、この本は必ずそうなり得るはずだという確信を抱いていました。

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シリーズ第一弾1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(致知出版社 刊)
日本が誇る超一流の方々の名言集、絶賛発売中

『致知』に大物著名人ばかり登場している理由

──本書には、稲盛和夫氏や五木寛之氏など、著名な方々が数多く登場されていますが、ここまでの有名人や著名人に登場していただける理由はどこにあるとお考えでしょうか?

小森いろいろな要因が考えられますが、『致知』の創刊理念がいささかもぶれていないということが挙げられるのではないかと思います。創刊理念は「いつの時代でも、仕事にも人生にも一所懸命に生きている人はいる。そういう人たちの心の糧になる雑誌を創ろう」というものです。

私自身がこの『致知』を初めて手に取ったのは20年近く前、24歳の時でしたが、その時に“日本にこんな雑誌があったのか”と雷に打たれるような衝撃を受けるとともに、無骨だけれども、なにか心惹かれるものを感じました。その時はうまく言葉にできませんでしたが、それは雑誌そのものが持つ「志」のようなものではなかったかと、いまになって感じます。

もっとも、『致知』は決して有名な方や著名な方ばかりを取り上げているわけではありません。有名無名を問わず、一道を歩んでいる人の生き方に焦点を当てる編集方針を貫いてきましたが、雑誌そのものが有する志のようなものを、ご登場者の方々も感じ取ってくださっている結果なのかもしれません。

もっとも印象に残った読者からの反響

──読者から一番反響があった言葉はなんでしょうか?

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たくさんあり過ぎて、とても一つに絞りきることはできないのですが、例えば今回、ベストセラーとなった本の第二弾として新たに発売となった『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』の中からですと、次のような言葉が挙げられます。 

「“他に善かれかし”と願う邪心のない美しい思いにこそ、周囲はもとより神様も味方し、成功へと導かれるのです」
稲盛和夫(京セラ名誉会長)

「辞めるんだったらいま辞めろ。いま辞めないんだったら生涯続けろ」
桂 歌丸(落語家) 

「世の中は決して行き詰まらぬ。もし行き詰まったものがあるならば、これは熱と誠がないからである」
北里柴三郎(細菌学者)

「もしも、思いのままになる人生であったとしたら、私は涙というものを知らない人間になったと思います」
三浦綾子(作家)

「苦難は人間を謙虚にする。謙虚になるところからすべては始まると思います」
大村智(北里大学栄誉教授)

 ──今回の記事を呼んで、この書籍に興味を持った方へ何か一言いただけますでしょうか。

小森365人もの方の心の琴線に触れるお話が、ここまでギュッと凝縮されて一冊に収まっているような本はほかにないと思います。

「第二弾は第一弾と比べると、内容が薄まる」というのが定説ですが、本書では決してそのようなことがないよう、編集部でプロジェクトチームを結成し、総力を結集して選を重ねました。

 第一弾の『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』も424ページと持ち歩きにくく、2,500円以上という高価格でありながら、30万部突破のベストセラーとなり、業界の定説を覆しました。今回の第二弾も、そういう定説を打ち破る本になればと願っていますし、また読者の皆さまのご期待に必ずお応えできる本であると自負しています。人間力を高めたい、仕事力を高めたいと願っている人には、文字通りのまたとない教科書となるはずです。

メルマガを15年もの長きにわたって続けてくることが出来た秘訣

──無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』を続けられてもうすぐ16年になります。メルマガをこれだけの長い期間続けることができた秘訣、メルマガをやっていてよかったことなどありましたら教えてください。

小森毎日、毎日、どんな言葉で、どんな内容を配信すれば、読者の方が興味を持ってくださるのかと考え、実践を続けてきたことが、「どんな言葉が読者の方に届くか」という言葉の感覚を磨くうえで非常に勉強になりました。また、実利的なことを申せば、いま弊社の新刊をリリースする際に、メルマガなしの販促というのは考えられません。ここ数年で、さまざまなSNSが出てきましたが、どんなSNSもその比ではないほどの圧倒的な影響力がメルマガにはあると感じます。

──その『致知出版社の「人間力メルマガ」』に興味を持った方々へ、何か一言いただけますでしょうか。

小森「人間学」や「人間力」というものに興味を持ってくださった方への入り口としては最適です。私が入社した当時、上司がある本の編集後記に「人が成長しようとするとき、人生の先輩の体験から学ぶことはたくさんあります。お父さんやお母さんから話を聞いたり、おじいちゃんやおばあちゃん、学校の先生や近所の人たちからもいろいろなことを教えてもらえます。そして、もっと大きな人間になるためには、大きく生きた人の話を聞くことが大切です」と書いていて、すごく感動しました。そうか、大きな人間になるためには、大きく生きた人の話を聞けばいいんだ、と。人間力メルマガは、毎朝7時30分届くのですが、一日の始まりにこのメルマガを読んで「よし、今日もがんばるぞ!」とやる気のスイッチを入れていただき、より大きな人生を生きていっていただけたらと心から願っています。しかもそんなメルマガが無料なんですから、読まない手はありませんよね(笑)。

──引き続き、MAG2NEWSでもメルマガの内容をご紹介させていただきたいと思っております。この度は、お時間をいただきありがとうございました。

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致知出版社の「人間力メルマガ」』が一冊の本になりました。
日本が誇る超一流の方々の名言集、好評発売中!

image by: MAG2NEWS編集部

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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