インターネットでの契約のみ、複雑なプランがないわかりやすさなどで人気となっているNTTドコモの『ahamo』。1周年を迎えた今年、新たなプランを提供することになりました。その詳しい事情を語るのはケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。石川さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、発表された「ahamo大盛り」について紹介しています。
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NTTドコモが100GBの「ahamo大盛り」を発表——20GBで2970円はやっぱり安すぎたと反省?
NTTドコモは6月より「ahamo大盛り」を開始する。これまでahamoは20GBで2970円で提供されていたが、さらに1980円を支払うことで80GBが追加される。つまり、4950円で100GB使えるというわけだ。
今回のオンライン説明会は、前日の告知でタイトルが「新たなサービスに関する記者会見」、登壇者が「ahamo推進室長」ということで、「あ、ahamoの新料金なのか」とわかりやすいフラグが立っていた。
「ahamoもいよいよ小容量プランをやるのか」と思っていたら、まさかの100GBであり、ちょっと驚きであった。
UQモバイルやワイモバイルがテレビCMで3GB990円をアピール。もちろん、家族での複数回線契約や電気、光回線とのセットを組むことで、ようやく3GB990円が実現するのだが、そこにahamoは対抗してくるか思っていた。ただ、NTTドコモとしては「メインブランド」であるahamoで小容量は、収益に大ダメージを与える可能性があるようで、あくまで「小容量はエコノミーMVNOで」というスタンスを崩していない。
NTTドコモユーザーからの「ahamoで小容量が欲しい」というニーズが高そうな気もするが、業界的な視点でみれば、今回のアップセルは健全なように思える。
そもそも、菅政権の圧力によって起こった値下げ競争は行き過ぎた感があった。その引き金を引いたのは20GBで2980円(当時)だったahamoなのだが、安すぎたという反省からかアップセルの方向に動き出した。
昨今、様々なものが値上げされているが、通信料金の場合は世間体もあって単純な値上げはできないだけに、容量を増やさせて、追加料金を支払わせるようにしていくのだろう。
菅政権が終わったときに「これからは容量が足りないようになり、追加の出費が必要になる」とあちこちのメディアで語らせてもらったが、まさにその通りになった。
UQモバイルやワイモバイルは3GBのプランではキャンペーンで5GBになっていたりするが、あれも早晩、終わらせる方向に行くのではないか。キャリアとしては「容量が足りない」という流れにして、より大きな容量のプランに切り替えてもらい、最終的にはメインブランドの使い放題プランを持って行きたいはずだ。
ahamo大盛りも、いずれ100GBでは足りないユーザーが出てきて、結局、「5Gギガホプレミア」を契約する流れができるはずだ。
そのためには5Gスマートフォンを普及させるのが重要になってくるだろうし、5Gエリアのさらなる拡大も不可欠だ。
「5G SAのスライシングで、オンライン会議が安定して綺麗な画質で使える」となれば、多くの人がスマートフォンで接続するようになるだろうし、そうすれば100GBでは足りなくなってくる。
コロナ禍が落ち着けば、あっという間に小中容量では足りず、使い放題プランが必須の時代になっているかも知れない。
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image by: yu_photo / Shutterstock.com