担任の得意を最大限発揮させる
よく、親が担任に言う文句は「他のクラスと同じ指導をしてほしい」ということだ。
担任によって、得手、不得手があり、同じ学年でも1組は園芸に熱心だが、2組は体育、3組は読書ということがある。教師は自分が得意なことをてこにクラスをまとめたい気持ちがある。いわば、先生にも「売り物」があるわけだ。
それを無視して、同じことをやってくれと言われると、先生が売り物を発揮できない。
例えば、体育の得意な先生に読書をもっと指導してくれと言っても、その先生のよさを殺すだけだし、どっちつかずになってしまうことが多い。
教師だって人間だから、自分が得意なことの方がやる気になる。だから、得意を殺さずに、それを褒めた方がいい。
公立学校は毎年、いろいろな先生に変わるよさがある。わたしは、担任は毎年変えた方がいいと思っている。
というのも、やはり子どもと教師の相性もあるからだ。相性がよくないのに、何年も同じ担任では子どもがかわいそうだ。私立では、毎年、同じ担任ということもあり得る。
先日、あるお母さんたちと座談会を行ったが、何でもかんでも教師に要求する親が多い。確かに親も不安なのだろうが、一人の教師に体育も読書もすべてやってほしいというのは無理だ。
すべてのクラスで足並みをそろえるよりも、あまり極端でなければ、その先生のいいところを最大限発揮させる方がクラスは生き生きとしてくる。平均がいいわけではない。その年ごとに、担任のいいところを子どもが吸収するように親が手伝ってあげるという発想が大切だろう。その方が子どもは伸びる。
担任の教え方や、学校の雰囲気を知るためにも、お父さんたちは一度、早い時期に授業参観に参加してはどうだろうか。そこで、担任にあいさつしてほしい。「うちの子が先生のジョークが面白いと喜んでいますよ」とさらにひと言、褒めれば完ぺきだ。
初出「親力養成講座」日経BP 2008年5月16日
image by: Shutterstock.com