プーチンは本当に侵略者なのか?米国こそがウクライナ紛争の責任を問われる理由

 

ミアシャイマー教授の見方

これは決してロシアの被害妄想などではない。たとえばフランスの文明批評家エマニュエル・トッドは『文藝春秋』5月号巻頭論文「日本核武装のすすめ」で要旨こう述べている。

▼米国ではこの戦争が「地政学的・戦略的視点」からも論じられていて、その代表格がシカゴ大学の国際政治学者ジョン・ミアシャイマー。感情に流されず「リアル・ポリティクスの観点から、戦争の原因を考えなければならない」と問題提起をしている。

▼「いま起きている戦争の責任は誰にあるのか?米国とNATOにある」と断言している。私も彼と同じ考えで、欧州を“戦場”にした米国に怒りを覚えている。

▼ミアシャイマーは「ウクライナのNATO入りは絶対に許さない」とロシアが明確な警告を発してきたのにもかかわらず、西側がこれを無視したことが、この戦争の要因だとしている。

▼ロシアの侵攻が始まる前の段階で、ウクライナはNATOの事実上の加盟国になっていた。米英が、高性能の兵器を大量に送り、軍事顧問団を派遣して、ウクライナを「武装化」していた。この「武装化」はクリミアとドンバス地方の奪還を目指すものだった。

▼ウクライナ軍は米英によってつくられ、米国の軍事衛星に支えられた軍隊で、その意味で、ロシアと米国はすでに軍事的に衝突している……。

これは、米欧の中でも歴史が見えている知識人らの1つの代表的な意見であるけれども、日本を含む西側のメディアがそれを参照して、「ところでNATOは冷戦が終わったのに何のために存続し、その挙句にロシアに向かって攻め上るような行動をとってきたのか?」とバイデンに問いかける者はほぼ皆無である。

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