参院山形選挙区で国民民主議員への対立候補を立てぬ自民の“思惑”

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自民党が予算案に賛成した国民民主党と接近。7月25日までに行われる参院選の山形選挙区で国民民主の現職、舟山康江議員への対立候補を擁立しない可能性があると伝えられています。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』で評論家の佐高信さんは、かつて舟山氏が自民党や自民党の甘利氏に対し放った痛烈な言葉を紹介。それでもなお国民民主にすり寄る自民党の方針を「抱きつき作戦」と称し、国民民主にあっさり袖にされた芳野友子連合会長の「男を見る目のなさ」とともに批判しています。

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自民党の抱きつき作戦

昨年の衆議院議員選挙の後、自民党選挙対策委員長の遠藤利明は「決して楽な選挙ではなかった。相手方のいろいろな混乱があって、連合会長が共産党ダメよと、そんな話をしていただいたこともあって勝たせていただいた」と告白したという。

その連合会長の芳野友子は、3月16日夜、自民党副総裁の麻生太郎の誘いに応じて会食した。「男社会をぶっ壊す」などと勇ましいことを言いながら、バカなアホボンの典型の麻生とは仲よくするわけである。彼女にとっては、麻生より共産党委員長の志位和夫の方が遠い。過日の社民党大会で私は「あまりに男を見る目がない」と叫んでしまった。

芳野は昨年秋の静岡の参議院議員補欠選挙で、立憲民主党、国民民主党、そして連合が一緒になって闘って勝ったことに意義を見出している。あるインタビューで「参議院もそういう形をめざしたかった」と言っているが、予算に賛成して、一目散に与党への道を歩んでいる国民民主党はもう完全に野党ではない。同党代表の玉木雄一郎は、安保法制反対派を排除した、いわば“排除の女”の小池百合子がつくった「希望の党」の代表だった。それがアッという間に“失望の党”になったのは記憶に新しい。

その国民民主党の副代表、舟山康江が今度の参院選で山形から出るについて、自民党は候補を立てず、抱きつき作戦に出るという。さすがに遠藤の地元の山形での立候補見送りには不満もあるらしいが、自民党は国民民主党を確実に引きつけたいのだろう。

問題は6年前に野党統一候補として出た舟山である。TPP反対で全国で山形の農協だけが舟山を推薦した。2013年の参議院では舟山が大接戦の末、自民党新人に惜敗をし、「山形の乱」と騒がれたが、この時、突然、荘内の農協に公正取引委員会の強制調査が入るという“事件”があった。そして2016年の参院選で舟山は自民候補に12万票の差をつけて大勝する。

そんな舟山に勝つのは難しいこともあって自民党は擁立見送りに傾いているわけだが、舟山はたとえば大臣室でワイロを受け取った甘利明について、こう批判していた。「斡旋収賄罪はすごく立件が難しい。ストライクゾーンがすごく小さいらしいんです。今回の甘利さんの件はその小さいストライクゾーンの真ん中に刺さるくらいの、典型的な斡旋収賄罪にもかかわらず、なんで報道されないのか。睡眠障害で病気になれば無罪放免なのか、これを書かないマスコミを私は理解できません」。

また、山形県知事選挙で非自民の吉村美栄子が勝つや、「山形県の要望は一切受け付けるな」と県選出の国会議員が役所に圧力をかけているという話を舟山は古巣の農林水産省の役人から聞いたという。そんな与党に怒って舟山は「与党に代わるもう一つの力を、もうひとつの勢力をしっかりと伸ばしていくこと」が必要だと言っていたのだが……。

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