プーチンならやりかねない。負けの生き恥より核投下を選ぶ独裁者の愚

 

どこで核を使うか?

ここからは、モスクワ国際関係大学元教授のヴァレリー・ソロヴェイ氏の見解を書いていきます。ソロヴェイ氏は、ロシア軍が戦術核を使うとすれば、ポーランドかバルト三国(リトアニア、ラトビア、エストニア)だろうとしています。なんのために?

なぜウクライナ軍は善戦しているのでしょうか?ゼレンスキーが逃亡しなかったこと、ウクライナ軍の士気が高いことなどが主な理由でしょう。しかし、「欧米がウクライナに際限なく武器を供与していること」も原因です。携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」で、ロシア軍の戦車がどんどん破壊されている。携帯式地対空ミサイル「スティンガー」で、ロシア軍のヘリ、戦闘機が撃墜され、制空権が取れない。アメリカとトルコのドローンが、ロシア軍戦車、装甲車を破壊しまくっている。

ロシア軍は、「このままでは、マジでやばい!」と考えるようになった。そこで、「武器供給をやめろ!さもなくば」と脅迫しはじめました。BBC NEWS JAPAN4月16日。

2ページにわたる正式な外交文書でロシア政府は、アメリカと北大西洋条約機構(NATO)諸国がウクライナへ武器を提供し続けていることが、ウクライナでの紛争に「燃料を与えて」おり、「予測できない結果に」つながりかねないと警告した。

ソロヴェイ氏は「NATOからウクライナへの武器供給を止めるために」「戦術核を使用する可能性がある」と見ています。ロシア政府の「予測できない結果」とは、要するに、「戦術核を使用すること」なのでしょう。

この話、大部分の日本人にとっては、「トンデモ系的話」だと思います。しかし、ゼレンスキー、バーンズCIA長官だけでなく、プーチン自身も、「核兵器使用の可能性」に言及している。だから、「あるかもしれない」と考えるべきなのでしょう。

すると、どうなるのでしょうか?ソロヴェイ氏によると、「ロシアは、戦術核を使うことで、西側は、ウクライナへの武器供給をやめると見ている」のだとか。しかし、実際はそうならないでしょう。

ポーランド、バルト三国への攻撃は、「NATOへの攻撃」です。集団的自衛権が発動され、第三次世界大戦が勃発するでしょう。もちろん、現時点ではまったく確定していません。「何%かは、そういうシナリオもある」ということです。マリウポリを焦土にしたプーチンなら、何をしてもおかしくありません。

  • 核使用 → 第三次世界大戦勃発

と事態が進まないよう祈りましょう。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年4月19日号より一部抜粋)

image by: Arthur Lookyanov / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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