マスク氏のTwitter買収理由を「不明」と報じる日本メディアの“節穴”ぶり

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イーロン・マスク氏が米Twitterを買収することで合意。その狙いについて、日本の一部メディアで「明確ではない」とのコメントがなされていることに驚くのは、「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さん。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、Twitterが他のSNSとは違う点を指摘し、非上場化してマスク氏が守ろうとしているものはただ1つと明言。そのうえで、マスク氏が変えていくTwitterの今後について、懸念と可能性を伝えています。

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Twitterの将来

Elon MuskがTwitterの買収を宣言したことが、大きな注目を集めており、日本のメディアでも報道されているのを見ましたが、「理由がまだ明確ではない」のコメントがされており少々驚いています。

買収の理由に関しては、Elon Musk自身が再三「表現の自由を守るため」と宣言しており、それ以上でも以下でもないのです。

特に問題となっているのは、Twitterによるトランプ氏のアカウントの永久凍結です。2021年の1月6日に起こったトランプ・サポーターたちによるアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件は、米国の歴史上の最大の汚点の一つだし、それを扇動する発言をしたのがトランプ氏自身であったのも事実です。

あれ以上の混乱を避けるために一時的にアカウントをフリーズすることは必要だったとは思いますが、トランプ氏が大嫌いな私でも、永久凍結が適切な判断だったとは思えないし、Elon Muskも同様に考えているのです。

Twitterと他のSNSの大きな違いは、Twitterがよりインフラに近いコミュニケーション・ツールである点です。Facebook、Instagram、WhatsApp、TikTokなどが流行り廃りに大きく影響される「社交」ツールであるのに対し、Twitterの本質は「公に対するメッセージを発信する」ツールなのです。

その観点からすると、トランプ氏のアカウントの永久凍結は、表現の自由を奪う「検閲行為」であり、そんなことは社会のためにやるべきではないし、同時に、Twitter社の価値を下げる行為だとMusk氏は主張しているのです。

Musk氏は、Twitterが検閲行為に走ったのは、ウォール・ストリートからの圧力の結果であり、上場企業である限りは、そこから逃れることは難しく、買収→非上場化により、Twitterをより公平な、インターネット上のプロトコルに近いような存在にしたいと考えているのです。

ちなみに、非上場化したTwitterのビジネスをElon Musk氏がどう立て直すかもとても重要なトピックです。

Elon Musk氏は、経営陣の給料をゼロにし、不要な「検閲部門」を大幅に縮小することによりコストを減らすと主張していますが、ストックオプションの魅力がない非上場の会社で、優秀な人を雇い続けるためには、魅力的な給料を払うしかなく、トータルでコストが下げられるかどうかに関しては疑問です。

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