人間性が欠けた独裁者。「プーチン帝国」ロシアを世界が見殺しにする日

 

歴史を振り返ると、東ヨーロッパの戦争は大げさに言えば紀元前から繰り返されており、現在の戦争も歴史のひとコマといえなくもない。しかもその中心にはロシアとウクライナが常に存在しており、両国の争いは因縁の歴史に色取られていたことがわかる。

しかし、今や「核」の時代であり、アメリカと中国という大国が絡んでいるだけに、ロシアとウクライナの対立を二国間の歴史的紛争のひと言では片付けられなくなっている。対応を間違えると一挙に世界大戦に拡大する危険性もあるのだ。しかも世界にニラミを効かせ、一極支配だったアメリカの力が衰え、一方で中国がアメリカに並ぶ大国に台頭。

そこへ真逆なプーチン・ロシアが人間性を欠いたような非情な戦争を展開していることを考えると”一歩間違えると世界大戦に……という恐ろしさを多くの国と人々は感じているのではなかろうか。プーチンもまたいざとなったら核を使用することを示唆して脅しをかけているからだ。逆にアメリカはその核実験の脅しに腰が引けてウクライナ支援にもう一つ力が入っていないようにみえる。

ロシアが今ほど世界から嫌われていたことはないだろう。ロシアの70都市で戦争反対のデモが行われているというが、“プーチンのロシア”のイメージが世界で定着すると、今後ロシアで何かあった時もロシア人を救済しようという世論は沸き起こるまい。ロシアが世界で生きていくには、ウクライナを倒すことより、世界で親しまれるロシアに生まれ変わったことを見せる方が将来のために必要なのではないか。

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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