歴史を振り返ると、東ヨーロッパの戦争は大げさに言えば紀元前から繰り返されており、現在の戦争も歴史のひとコマといえなくもない。しかもその中心にはロシアとウクライナが常に存在しており、両国の争いは因縁の歴史に色取られていたことがわかる。
しかし、今や「核」の時代であり、アメリカと中国という大国が絡んでいるだけに、ロシアとウクライナの対立を二国間の歴史的紛争のひと言では片付けられなくなっている。対応を間違えると一挙に世界大戦に拡大する危険性もあるのだ。しかも世界にニラミを効かせ、一極支配だったアメリカの力が衰え、一方で中国がアメリカに並ぶ大国に台頭。
そこへ真逆なプーチン・ロシアが人間性を欠いたような非情な戦争を展開していることを考えると”一歩間違えると世界大戦に……という恐ろしさを多くの国と人々は感じているのではなかろうか。プーチンもまたいざとなったら核を使用することを示唆して脅しをかけているからだ。逆にアメリカはその核実験の脅しに腰が引けてウクライナ支援にもう一つ力が入っていないようにみえる。
ロシアが今ほど世界から嫌われていたことはないだろう。ロシアの70都市で戦争反対のデモが行われているというが、“プーチンのロシア”のイメージが世界で定着すると、今後ロシアで何かあった時もロシア人を救済しようという世論は沸き起こるまい。ロシアが世界で生きていくには、ウクライナを倒すことより、世界で親しまれるロシアに生まれ変わったことを見せる方が将来のために必要なのではないか。
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