文在寅から4度の左遷。韓国新法務部長官の人事に野党猛反発の訳

 

ここで注目すべきはやはり、尹錫悦大統領が5月17日に「6.」の「法務部長官」に韓東勳(ハン・ドンフン)を大統領の権力で任命した点。野党民主党は、韓長官に対して「任命はすなわち国民の半分と戦うということ」と強く反対したが、尹大統領は前日の人事聴聞経過報告書送付期限が過ぎたことをもって17日彼を法務部長官に任命した。「新政権の法務行政の空白を防ぎ、一日も早く完全な新政権の第1期内閣を完成させ、国政を正常化軌道に乗せなければならない」というのが大統領室の説明だ。

大統領室によると、尹大統領は同日午後4時30分ごろ、両長官(法務部長官と女性家族部長官)に対する任命を裁可した。30分後、大統領室は担当記者たちに「大統領は韓東勳長官、金賢淑(キム・ヒョンスク)長官を任命した」と公示した。

大統領室関係者は、韓長官任命の背景について「職務遂行に大きな欠格事由がない限り、長官を保留することも国民に対する礼儀ではない」とし、「国政をリードしなければならない大統領の立場から野党に引きずられるわけにもいかない」と述べた。人事問題をはじめ、任期序盤の国政運営の主導権を握っていくという意味と解釈される。当初野党は「落馬第一ターゲット」として韓東勳長官に照準を合わせていたが結果的に無為に終わった。韓東勳聴聞会で適時打を放つどころか、空振りばかりしていた野党民主党が自ら招いた側面もある。

韓東勳氏が尹大統領のサインによって新任法務部長官となると、前政権がなくしてしまった「証券犯罪合同捜査団」復活に言及した。韓長官はまた「社会的強者に対しても厳正捜査ができる公正な検察を作る」とし、「すべきことをきちんとする検察を恐れる人は犯罪者だけだ」と述べた。

韓長官は17日午後6時30分頃、政府果川庁舎法務部大講堂で開かれた就任式で「夜道を歩くのが怖い社会、組織暴力団が設置する社会、庶民が被害に遭っても我慢して見過ごすことを選択する社会になってはならない」とし「直ちに庶民を泣かせる経済犯罪実態に対して至急点検し、素早く対処しなければならない」と話した。それと共に「私は今日直ちに『証券犯罪合同捜査団』を再びスタートさせることでその第一歩を踏み出す」とした。彼は「庶民に諸々の被害を与える犯罪者は、犯した罪に見合う責任を負うことになるだろう」と話した。

ソウル南部地検にあった証券犯罪合同捜査団は大型金融・証券犯罪を捜査し「汝矣島(ヨウィド)の死神」と呼ばれた。ところが2020年、秋美愛(チュ・ミエ)元法務部長官が2020年1月の就任直後になくしてしまった。当時、検察の直接捜査部署を大半なくしてしまい、証券犯罪合同捜査団も解体した。

当時、与党(=民主党)関連の疑惑があった金融事件の捜査をもみ消そうとするのではないかといわれている(言われているだけではなくて実際にそうなのだった)。以後、パク・ボムゲ元法務部長官が2021年9月「金融・証券犯罪捜査協力団」という名前で復活させたが、検事は直接捜査権はなく捜査指揮、公訴維持だけをさせた。

韓長官はこれを本来の合同捜査団として復活させ、検察が経済犯罪に強力に対応するという意志を示したのわけだ。「検捜完剥(コムスワンバク=検察の捜査権を剥奪する)法」は野党民主党(180席近い議席)の暴挙により可決されているが、経済犯罪は検察の直接捜査範囲に該当する。

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