北の核ミサイル威力に対抗せよ。「韓国版マンハッタン計画」とは

 

2番目の低威力核兵器としては、トライデントIISLBMに装着されるW76-2新型低威力核弾頭を挙げることができる。威力は8キロトンと言われている。特に潜水艦に搭載されるため、東海(日本海のこと)はもちろん西太平洋でも密かに水中に潜伏して打撃できるというのが強みだ。W76-2はすでに2019年に25個の弾頭が生産され、実戦配置が完了している。

3番目の低威力核兵器としては、核弾頭装着トマホーク巡航(クルーズ)ミサイルが挙げられる。主要紛争で薬房の甘草のように使われてきたトマホーク巡航ミサイルに5キロトン級の核弾頭を装着したものだ。バイデン政府になって新しい核態勢検討報告書(NPR)によって計画が取り消されたが、必要な場合はいつでも復活できる。このような低威力核兵器は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と北朝鮮に「有事の際、米国が実際に核兵器を使える」という恐怖心を呼び起こすから、挑発を抑制できるという評価だ。

それでは韓米拡張抑制強化と低威力核兵器で高度化した北朝鮮の核・ミサイル脅威に十分対応できるだろうか。専門家たちは北朝鮮の攻勢的な先制核攻撃戦略採択と韓国を狙った新型戦術核兵器開発など従来とは次元が違う核・ミサイル脅威の登場に注目しなければならないと指摘する。金正恩は先月25日、北朝鮮軍創建90周年記念閲兵式演説を通じて先制核攻撃の可能性を初めて示唆した。

北朝鮮が2019年以降、集中的に試験発射を行ってきたKN23改良型ミサイル、北朝鮮版エイタキムスミサイル、600ミリ超大型放射砲、ミニ(小型)SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)などは、韓国を狙った戦術核弾頭を装着できるものと情報当局は見ている。

北朝鮮はこれより小さい新型戦術ミサイル(射程110キロ)も最近、試験発射に成功したが、これに装着する小型戦術核弾頭開発などのための7回目の核実験は時間の問題という段階だ。これら戦術核兵器は数十キロトン以下の威力で、有事の際、北朝鮮は実際に使いたい誘惑を強く感じるだろう。それらが実際に使われた場合、戦争の流れを変えるゲームチェンジャーになりうる。特に、北朝鮮は戦術核開発に有利とされるプルトニウムの大量抽出のために、最近寧辺(ヨンビョン)で50メガワット級原子炉の建設も再開したことが分かった。

これに効果的に対処するためには、韓米拡張抑制強化を超える高強度対策が必要というのがおおかたの考えだ。韓国空軍のF-35ステルス機やF-15K戦闘機も、米国のB61-12新型戦術核爆弾を運搬できるだけに、これを活用する韓国型核共有体制も推進できる案だ。韓米同盟を活用した方法のほか、画期的な独自の北朝鮮核対応手段を開発するための特段の対策も講じなければならない。米国が国力を集中して史上初の原子爆弾を開発した「マンハッタン計画」のように、核武装潜在力確保と非核「毒針兵器」開発のための「韓国版マンハッタン計画」を推進する必要がある。

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