戦争が金になる。バイデン3度の「台湾防衛」失言が意味するもの

 

解説

中国が東シナ海、南シナ海で軍事的な勢力伸長を遂げていることは間違いありません。

しかし台湾進攻はまったく次元の違う政治的決断と結果になることは明白です。中国の台湾進攻は、まさに西側世界を相手にした全面戦争になる可能性があるのです。

その意図が中国にあるのか、記事は続きます。

国際メディアでは、中国の軍隊が今にも台湾に侵攻する、あるいは少なくとも今後数年のうちに侵攻するという誤った印象を与えるような激しい議論が展開されている。

 

しかし、北京からはそのような兆候は全く見られない。少なくとも、そのような大規模な侵攻を開始するには、何年にもわたる秘密裏の軍備増強だけでなく、国民に戦争への準備をさせるための公的な取り組みが必要となる。

 

中国は台湾の大陸との統一について、これまで一度もスケジュールを公表していないが、一部の国際アナリストは、2017年に習近平国家主席が打ち出した「2035年までに世界の主要国になる」という壮大なビジョンから推察している。

 

しかし、常識的に考えて、北京が2035年の目標を達成するためには、経済発展のための安定した国際環境が必要である。台湾への早まった対応とそれに伴う国際的な混乱は、中国の発展を何十年も遅らせることになりかねない。

解説

中国に台湾進攻の意図はないにもかかわらず、バイデンは挑発的な発言(失言?)をしているという内容です。

私は、日本の外交として米国と密接に協力する現在の姿勢を支持するものです。自由主義の最強の国だからという理由です。

しかしその一方でアメリカには戦争の緊張を欲している国だ、という側面もあることは忘れてはなりません。世界中の軍事費の36%を占める圧倒的な軍需産業を支える必要があるためです。

アメリカは軍事的緊張を欲してもいるのです。

バイデン大統領はロシアのウクライナ侵攻前に「小規模な侵攻なら対応の仕方には議論がある」などと発言し、規模次第では制裁を見送る可能性を示唆しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領に「小規模な侵攻などない」と反発され、バイデン大統領は発言を撤回しました。

しかしこの「失言」もロシアのウクライナ侵攻の強力な後押しであったことは間違いありません。

さらに言えば、こうった手法はバイデン大統領に限ったことではありません。アメリカの手法ともいえるものです。

1990年、湾岸戦争の引き金になったイラク、フセイン大統領のクウエート侵攻の前にもそれを容認するかのようなメッセージが米国政府からでていました。で、実際にイラクが侵攻したら徹底的にたたくという図式です。

米国は日本の大事な同盟国であり、そのお互いの信頼はゆるがせにすべきではありません。しかしその一方で、米国を盲信追従するのもいただけません。米国大統領の失言をも冷静に分析すべきです。

本当に日本は日本の立場で世界の国際情勢を冷静に見るべきなのです。(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』5月29日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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▼2022年4月
・ウクライナ比較:台湾有事(4/24)
・世界で人気の日本のリアリティショー番組(4/17)
・中国の発展途上国への借款支配(4/10)
・ウクライナ難民に対する日本政府の無責任発言(4/3)

ウクライナ侵略が現実のものとなってしまった今、もはやいつ勃発しても不思議ではないと言われる台湾有事が論じられた4/24号では、元米軍司令官の冷静な分析や中国人大学教授の不敵な発言等を引きながら、日本における当問題の真剣な議論の必要性を訴えた大澤先生。4/3号では、「日本もウクライナ難民受け入れに合意した」とするニューヨーク・タイムズの記事を引きつつ、受け入れ不能な難民支援を約束した岸田政権の姿勢を批判しています。

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▼2022年3月
・ウクライナ戦争の出口、新しい世界秩序(3/27)
・岸田総理インド訪問にみる海外報道との乖離(3/20)
・日韓関係の転機となるか、韓国新大統領(3/13)
・ウクライナ戦争の行方、カギを握るトルコ(3/6)

ウクライナ紛争後の「新しい世界秩序」はどの国が作ることになるのか?日本の安全保障にも大きく関わってくる、そんなテーマが扱われた3/27号。プーチン大統領に対して大きな発言権を持つ国家指導者の実名を上げ、戦争の出口と今後の展開を大澤先生が論じています。3/13号では大接戦の末誕生した韓国の新大統領が、国交正常化以来最悪となっている日韓関係をどのような方向に導くのかを考察。その上で岸田総理の手腕への期待を記しています。

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▼2022年2月
・プーチン大統領の目的は何か(2/27)
・スパイ防止法 中国と日本(2/20)
・武器輸出を増大させる韓国(レッテルの怖さ)(2/13)
・ウクライナ危機の本質、ブタペスト覚書(2/6)

2/22号のテーマは、主要国の中で日本だけが未制定かつ現実を見据えた議論すらなされない「スパイ防止法」。我が国においてはいくらスパイを逮捕しても無駄となる現実や、スパイ容疑で拘束した邦人を獄中死させている中国が、日本国内で常識を超えた情報収集活動を行なっている事実を紹介しています。2/6号では、ウクライナ危機の本質をニューヨークタイムズの記事を引きながら詳細に解説。さらに危機に至った歴史的経緯を伝えない報道機関を批判的に記しています。

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▼2022年1月
・自作自演の罠にはまったプーチン(1/30)
・日本に入る中国の電気自動車(1/23)
・カンボジアのインターネットゲートウエイ法(1/16)
・中国からのメッセージ(1/9)
・如何にして海外報道に疑問をもったか?(1/2)

このままでは近い将来、日本の電気自動車市場を中国が席巻することに? 1/23号では、日本の大手物流企業が、次々に中国製の電気自動車を導入している実態を紹介。1台50万円以下という圧倒的な価格競争力を背景に攻勢を強める中国メーカーに、日本はどう立ち向かうべきか?大澤氏の提案は、自動車に限らず多くの日本企業にとって参考になりそうです。1/2の新年特別号では、朝日新聞の歪んだ報道姿勢や著者の原点についても。

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▼2021年12月
・原子力潜水艦を渇望する韓国(12/26)
・「中国式民主主義」に対する各国報道(12/19)
・ビッグデータの覇権を狙う中国(12/12)
・中国政府とオリンピックを揺るがすテニス選手の行方不明(12/5)

日本はおろか米国をもはるかにしのぐ、中国の「ビッグデータ収集」が12/12号のテーマ。米アップルやテスラですら中国共産党に従わせる、中国の老獪なやり口とは? 20世紀が石油の時代だとすれば、21世紀はデータの時代。「情報はタダ」と軽視しがちな日本に大澤氏は強い警鐘を鳴らします。また12/26号では、韓国のムン・ジェイン大統領が、北朝鮮との終戦を国連で強く訴える一方で、「北朝鮮に対抗するために」原子力潜水艦を渇望している真の理由を考察。隣国の日本も、決して無関係ではいられません。

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▼2021年11月
・軍事的な結びつきが強まる日本とベトナム(11/28)
・中国政府を揺るがすテニス選手の性的暴行告発・消息不明(11/21)
・「日本は信頼できない」韓国大統領候補(11/14)
・日本の戦略を高く評価するシンガポール新聞(11/7)

11/28号では、日本とベトナムの安全保障協力を詳しく解説。南シナ海で中国の脅威が高まる中、日本はベトナム沿岸警備隊向けに約400億円を投入、「かが」「むらさめ」2隻を海軍基地に寄港させ「親善演習」を実施しました。大澤氏はこの日本政府の取り組みを「場当たり的ではない長期的な国家戦略」として評価しつつも、「肝心の日本国民に説明できない」ところに大きな課題があると指摘します。
11/7号では「最近、日本は目立たないながらも主導的な役割を果たすようになった」とのシンガポール紙の記事を紹介。これもまた「なぜか日本で報道されない」日本に肯定的な意見のひとつです。

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▼2021年10月
・世界EV電気自動車バッテリー覇権戦争(10/31)
・今もNYタイムズで追悼される従軍慰安婦(10/24)
・海外からの日本への投資、北朝鮮に次ぐ最下位(10/17)
・日本が核武装を決断する日(10/10)
・中国の情報操作に対抗するシンガポール(10/3)

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▼2021年9月
・オーカス(AUKUS)の各国反応(9/26)
・米国の国境に殺到するハイチ人の悲劇(9/19)
・鳩山由紀夫氏に問う(9/12)
・中国で日本テーマパークが閉鎖(9/5)

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▼2021年8月
・韓国 従軍慰安婦記念式典(8/29)
・アフガンに入り込む中国の戦略(8/22)
・仮想通貨 恐ろしい騙しの手口(8/15)
・暗号通貨の未来~シンガポールの取り組み~(8/8)
・忍び寄るインフレ、バイデンフレーションの恐怖(8/1)

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▼2021年7月
・オリンピック開会式、NYタイムズ厳しい報道(7/25)
・グーグルが国有化される日(7/18)
・無観客オリンピックの報道(7/11)
・タイトル42が廃止される時(7/4)

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▼2021年6月
・海外のオリンピック報道は?(6/27)
・テキサス州がトランプの壁を独自建設へ(6/20)
・今、香港に報道の自由はあるか?(6/13)
・中国の台湾侵攻に関する広報・情報戦(6/6)

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▼2021年5月
・カマラ・ハリス副大統領の沈黙(5/30)
・海外は従軍慰安婦問題をどう報道しているのか?(5/23)

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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【著者】 大澤 裕 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

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