戦争が金になる。バイデン3度の「台湾防衛」失言が意味するもの

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5月23日、日米首脳会談後に行われた共同記者会見の席で、台湾有事の際の軍事的関与を明言したバイデン大統領。今回で少なくとも3回目となる台湾有事を巡る「失言」に中国側は強く反発していますが、果たしてこの発言をバイデン大統領の単なる失言として片付けてしまっていいものなのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、この件を取り上げた香港英字紙の記事を翻訳する形で紹介しつつその内容を解説。さらにアメリカは軍事的緊張を欲する国でもあるという事実を記すとともに、我が国の米国盲信追従の姿勢を疑問視しています。

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バイデン大統領の失言は意図的か?

バイデン大統領、日韓訪問中にまた失言しました。

「中国が台湾に侵攻したら武力行使する」という問題発言です。

これについて香港サウスチャイナモーニングポストの5月28日の記事を紹介します。

バイデン氏は日本訪問中の記者会見で、中国が台湾を侵略した場合、軍事力を行使する用意があると宣言した。

 

これは長年にわたる「戦略の曖昧さ」の政策からの転換を示唆するものだった。

 

ホワイトハウスは直ちにバイデン氏の発言を撤回し、台湾に対する政策に変更はないと主張し、79歳のバイデン氏が再び失言したことを示唆した。

 

バイデンは昨年少なくとも2回、米国で同様の発言をし、ホワイトハウスはすぐにそれを撤回しなければならなかった。

 

中米関係を支えるおそらく最も重要な問題について一度だけ言い間違えたのならまだ理解できる。

 

しかし12ヶ月の間に少なくとも3回言い間違えたのは、失態というより意図的な行動に聞こえる。

解説

「戦略的曖昧さ」は、米国の長年の政策です。

台湾が中国に武力攻撃を受けた際に、米国がこれにどう対応するか明言しないでおくというものです。米国が台湾を武力で守る、と言えば、台湾は独立を宣言するかもしれません。

それは中国のメンツを完全につぶすことになり台湾進攻から全面戦争につながりかねません。それを避けるための政策です。

しかし本記事にもあるように、このバイデン大統領の失言、はじめてではありません。

2021年10月にも中国に台湾が攻撃された場合、アメリカが防衛する責任があると発言しました。ホワイトハウスは直後に「大統領は政策変更を決めたわけでもない」という声明を発表しています。

「こんな大事な問題で何回も失言するだろうか」というのがこの記事の趣旨です。
さらに記事は続きます。

このような扇動的な発言は、全面戦争の引き金となる危険性がある。

 

米国は実際に中国と戦うために軍隊を投入する準備ができているのか、またその意志があるのか。

 

中国と対立する場合、米国は地理的な距離の問題から、日本や韓国の軍事基地に頼らざるを得なくなるだろう。北京はこれらの基地の使用そのものを戦争行為とみなし日韓への報復をするかもしれない。

 

そうなれば、戦争が拡大し、誰もが壊滅的な被害を受けることになりかねない。考えるだけでも恐ろしいシナリオである。

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