尹錫悦大統領就任後、初めて開かれた韓米首脳会談も無事に終了しましたが、韓国としては課題が残る印象だったようです。無料メルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、その理由を分析。加えて、日韓関係改善のカギとなることについて記しています。
ゆっくり急げ。ジョー・バイデン米大統領のアジア歴訪
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が就任後初めて開かれた韓米首脳会談を成功裡に終えたが、20~24日のジョー・バイデン米大統領のアジア歴訪ハイライトは断然日本だった。
バイデン大統領は先に韓国に立ち寄って2泊3日滞在したが、日本でインド太平洋経済フレームワーク(IPEF)発足宣言、「クアッド」(米国・日本・オーストラリア・インドの4者安保協議体)首脳会議まで注目度の高い行事を相次いで開催した。
日本はバイデン政府の対アジア戦略であるインド太平洋戦略(FOIP)だけでなく、今回のIPEF発足にも事実上、共同提案国の役割を果たした。
日本の「コーナーストーン(礎石)」の役割がさらに大きくなっているわけだ。
特に、ブリンケン米国務長官が26日、自強(競争力・革新・民主主義投資)・同盟(同盟およびパートナーとの提携強化)・競争(安保・技術などで中国との競争)の3大対中戦略を発表しただけに、バイデン政府はアジア核心同盟である日韓との2国間および3者(日米韓)協力強化を本格化するものと見られる。
日本も日米同盟強化を名分に改憲を通じた「正常国家化」のための経路を着々と準備している。
岸田文夫首相は23日、日米首脳会談で北朝鮮・中国対応を名目に防衛費の大幅増強を事実上容認された。
7月の参議院選挙勝利後、現在国内総生産(GDP)対比1%である防衛費を2%まで増額し、適地反撃能力保有を推進する可能性も濃厚だ。
アジアでこのように事実上の「変更」がなされている状況で尹錫悦政府の対アジア政策は全般的に曖昧だ。特に韓米関係を後押ししなければならない日韓関係をどうするかが具体的に見えてこない。
5月3日、大統領職引継ぎ委員会が発表した「尹錫悦政府110大国政課題」には、「シャトル外交復元を通じた信頼回復」「金大中・小渕宣言精神の発展的継承」など原論的な話だけが盛り込まれている。
21日に発表された韓米首脳共同声明にも米国が要求する日韓関係改善と関連して「北朝鮮の挑戦に対応し、共同の価値を支持し規範に基づいた国際秩序を強化するための韓米日3国協力の重要性を強調した」と簡単に書かれているが、ちょうど1年前の文在寅政府の韓米首脳共同宣言文句と大差ない。