もはや銀行にも頼れない。コロナ融資の過剰債務で倒産寸前になる企業の行く末

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新型コロナウイルスによって一時的に業績が悪化した企業に対しての救済として取り入れられているコロナ融資。それを利用していたものの、過剰債務に陥ってしまった人たちも多いようです。今回は、メルマガ『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者で事業再生コンサルタント、作家、CTP認定事業再生士の顔を持つ吉田猫次郎さんが、その実情を語っています。

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コロナ融資で目一杯借りて過剰債務に陥った方からの相談が増えてきた

過剰貸付の是非はともかくとして、コロナ融資で目一杯借りて過剰債務に陥った方からの相談が増えてきています。例えばこんな相談が…。

業種: イベント企画制作
業歴: 15年以上
売上: コロナ前までは年商1.5億 → 現在は4000万円以下
借入金:コロナ前までは5,000万円 → コロナ融資を借りて総額1.2億円

つまり、現在は年商5,000万円に対し、借入金がその倍以上も重くのしかかっています。

返済状況は、1年前から資金が底を尽き、リスケを開始していました。

最近では、利息の支払いすらもままならなくなり、リスケの際に必要な保証料も用意できず、消費税も猶予をお願いしており、もはや信用がないので追加融資も受けられず、結果として、延滞が始まっています。

このままでは、保証協会つきの借入金は事故扱いとなり、代位弁済になるのは時間の問題でしょう。

こんな時、どんな解決方法があり、どうアドバイスすべきなのかは、数字だけでは判断できません。

数字以外にも、その業種ならではの特性や、業績回復の可能性、許認可、担保、保証人、取引先との関係性など、さまざまな要因によって、解決策が違ってきます。

ちなみに、このイベント会社の場合、2022年2月頃までは売上がどん底でしたが、春先から徐々に回復。2022年5月の月商は、コロナ前の70%くらいまで回復しています。

小規模イベントを数多くこなしてきたので、取引先は多岐にわたります。許認可はあまり必要としません。担保は最初から無担保です。社長の自宅は住宅ローンで目一杯(無剰余)です。第三者保証人はなし。

取引先との関係はさほど堅苦しくなく、人間的つながりによるところが大きい様子です。

そうなると、銀行対策も、以下の2つの選択肢があるかと思います。

(1)銀行に経営改善計画書を提示して、業績回復の見込み、返済再開の見込みがあることを伝え、ギリギリのところで期限の利益の喪失(=代位弁済)を食い止め、リスケを再延長して、銀行との関係を保つ(通常は延滞3か月でアウトですが、中にはこのような状態で最長12か月近く待ってもらったケースもあります)。

(2)潔く代位弁済を受け入れる。そして、代位弁済後に保証協会と話し合い月々の返済金額を取り決める。しばらくはこれで延命できるし、ゆくゆくは、業績が1億円、1.5億円と回復して利益が出るようになったら、金融正常化に向けて次の方策を考える(例:求償権消滅保証制度による正常化・信用回復など)。

まだまだ生き残り策はあります。早まらず、落ち着いて情報収集しましょう。

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image by: Shutterstock.com

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事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。特に倒産寸前の中小企業、零細企業、自営業の自力再生(のサポート)を最も得意としています。著書『震災後に倒産しない法』(サンマーク出版)、『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)、『連帯保証人 なってみたらすごかった でもまだ手はある』(ワニブックスPLUS新書)、『ブラックリストなんて怖くない』(宝島社)、『働けません。』(三五館)ほか多数。1968年東京生。乙女座A型。趣味は自転車、魚釣り等。無類のネコ好き。

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【著者】 吉田猫次郎 【月額】 ¥528/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 10日・20日・30日 発行予定

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