2年経ってもトランプという“悪霊”を祓えないアメリカ共和党の重症度

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11月8日に中間選挙が行われるアメリカですが、共和党内においては未だトランプ前大統領の“威光”にすがりつかなくてはならない状況が続いているようです。この現実を識者はどう見るのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、自らのMAGA度、すなわち2年前にトランプ氏が叫んだ「Make America Great Again」の度合いを競い合う共和党候補を痛烈に批判。さらに民主党のバイデン大統領が抱える問題を指摘するとともに、中間選挙の「真の見どころ」を挙げています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年6月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

米中間選挙を覆う「MAGA」という心の病/共和党はトランプの悪霊を祓うことができるのか?

半年後に迫った米中間選挙に向けて民主・共和両党の候補者選びのための予備選挙が進んでいるが、そこに暗く重い影を投げかけているのはトランプ前大統領という黒い禍いの雲である。

2年前の大統領選で彼が敗北し、その選挙結果をフェイクだと主張、それに煽られて興奮した支持者が米議事堂に突入するという米民主主義史上で前代未聞の醜態まで演じた挙句に去って行った後に、しかし共和党には本来の穏健・中道保守路線を立て直そうとする主流派の目覚ましい動きは何も始まらず、その荒野のようなところを相変わらずトランプが徘徊して「キングメーカー」であるかに振る舞い、あわよくば2024年大統領選で再選を果たすための条件を掴もうと画策しているのである。

共和党有利の予想は変わらない

一般に、新しい大統領は最初の中間選挙で野党の批判を浴びやすく、第2次大戦後の19回のうち17回で与党が議席を減らしているという統計があるほどである。加えてバイデン政権の政策は内外共に精彩を欠いて一向に支持率が上がらず、このままでは共和党有利のまま11月を迎え、上下両院とも共和党に多数を握られることになる公算が大きい。

上院は100議席を50対50で分け合い、辛うじて議長をハリス副大統領が務めることで民主党が1票差を確保している形。今回改選となる3分の1=34議席のうち共和党の議席が20、民主党が14で、しかも民主に選挙に強い議員が少なくないので、そう大きく負けることはないだろうが、しかし1~2議席減らしただけでたちまちバランスが崩れる危うい状態である。下院は435議席の全てが改選となり、現状が民主222、共和210、欠員3とほぼ拮抗状態にある中、共和党が8議席以上を奪えば逆転するので、そうなることはほぼ間違いないと見られている。

とはいえ、問題は民主党との議席差よりも、おそらく両院で多数派を占めることになる共和党議員の中でトランプ派がどれほどの比重を占めることになるかによって決まる「質」である。

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