そういう機関があるということを知らなかったのですが、クレジットデリバティブ決定委員会という、つまり世界の金融市場をコントロールする協議体のようなものがあり、そこが、ロシアの国債を当初はデフォルトが回避されたと言っていたのですが、4月4日償還分で、結局、回避できていなかったという結論になり、つまりデフォルトになってしまったのです。これ、ドル建てだそうですので、もうロシアは国外で債券を募集することが出来なくなる。まあ、資金集めが超やりにくくなるということですかね。それでもいいよと言ってくれるところがあるかも分かりませんが。こうなると戦費調達もままならない状況になると思われますし、これはアナウンス効果も絶大ですよね。ロシア国債(ドル建て)デフォルトということになれば、世界中からロシアはもうダメねというふうに見られるはずです。特に中国がこれによって方向を変えざるを得ないのではないかと思うのですが、それは推測に過ぎませんからもちろん分かりません。
どちらにしても、この状況になったらロシア兵、大変な数のロシア兵が今もウクライナ国内で攻撃を続けているわけですけれども、この人たちはやがて取り残されて、それこそ大きな意味での撤退戦を始めなければ、どれだけ犠牲者が出るか分からない状況だと思うのですね。ロシア兵、ウクライナ国内にいるロシア兵が皆殺しになることを望みたいなどとは思いませんので、早く引き上げて、もうこんな戦争を起こさない政府を早くロシアに作ってほしいと思うのですが。そういう状態にこれからなっていくのではないかなと思います。最近の言い方でいうと、戦争の終え方をどうしたら良いのかという話が色々なされていますけれども、相変わらずプーチンさんの人気、ロシア国内での人気は高いわけですし、とはいえ、地方議会の議員さんだとか、あるいは外交官とか(が反旗を翻し始めている)。
プーチンさんの親衛隊の中からも除隊願いが大量に出て、つまり自分たちはもう戦争に行きませんよという意思表示ですね。そういうことをする人たちも増えている。ロシア国内ではまだまだプーチンさんの絶対的な人気が高いのだけれど、少しずつ(戦争の)状況が分かってきて、おそらく最も悲惨な話は自分の家族や親戚やら友人やらがウクライナに行かされて戦死しているという、そのことさえよく分からずに行方不明になっているとかね。そういう人たち(の遺族や家族)が声を上げ始めていて、何かが変わる可能性もあるかもしれない。
ただ、どうでしょう、太平洋戦争の時の日本国内で、東条内閣に対する反政府運動が高まったということはなかったわけですしね。原爆が落とされたのは別に戦争終結を早めるためではなかったのでしょうが、日本中が空襲に遭ってグウの音も出ない状況になって初めて、天皇が戦争の終結を宣言するような形で日本政府はポツダム宣言を受諾するということになったわけでしょう。決して日本国内で政府に反対する動きがうんと強くなったということはなかったわけですよね。みんな現人神を信じていたかどうかは分からないけれど、戦争に必ずしも反対などしていなかった。そのことを考えると、ロシアも当時の日本とは違うかもしれないですが、非常に悲惨な状態に陥る、例えば物価がどんどん上がって市民社会がパニックを起こすような…。そんな状態に落ち込んで初めて戦争が終わるのかもしれない。何かプーチンさんが考えを改めるとか、それ以外の人が政権について戦争に対して全く違った態度をとるようになるとか。ということを期待していいのか…、いや、期待できないのではないかなという気がしておりますね。
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