また、キッシンジャー博士の「ダボス会議演説」を見ればわかるように、いわゆるディープステート、あるいは影の政府と呼ばれている権力者たちの全てが「非情」な「拝金主義者」ではありません。全ての権力者たちが、「陰謀」を張り巡らせることで世界を支配しようとしているわけでもないのです。
彼らの中にも、いわゆる「良識」を備えた人たちは決して少なくありません。むしろ「自分だけが良ければ良い」といった病的な利己主義者や、大衆を思いのままに操作し支配することに快感を覚える「権力亡者」の方が少数派なのかもしれません。ディープステートの全てが「敵」ではない、という単純な事実は希望につながります。
ですから、この数年続いた混乱も大局においては収拾に向かうと考えても良いはずです。ま、その前には、「もうひと荒れ」あるのを覚悟する必要はありますが…。盟友であるアメリカ合衆国もその底力を発揮して、社会の分断と混乱を何とか乗り越える方向に動き出すでしょう。
私をこのような楽観論に変えてくれたのは、皮肉なことに、「ダボス会議」の長老でありディープステートの指導者の一人ヘンリー・キッシンジャー博士でした。
私たちが生きる社会の構造は単純ではありません。重層的に入り組んでいて、利害も力関係も複雑に絡み合っています。若い頃には、そうした巨大な構造を直接動かすことを夢見たことも無かったわけではありません。若い人たちが簡単に革命を口にできるのは、複雑で巨大な構造物を単純化し矮小化して見ているからです。人は早い時期に(できれば学生の内に)、こうした愚かな世界観から自分を解放するべきでしょう。歳を重ねた今になってみれば、複雑で巨大な構造物の変遷と動向を眺めつつも、自分に与えられた仕事や生活の場で、いかに最善を尽くすか、いかに気持ち良く楽しく生きるかを考えるようになりました。
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