プーチン政権は終焉。ロシアの要人会議で上がる次期指導者の名前

 

南部での戦いは、ウ軍が大きく前進している。しかし、ウ軍も主戦力をここからポパスナ地域のロ軍への対応のために転戦しているので大きくは動けない状態のようである。

一方、ロ軍は、要衝のイジュームや交通の要所クビャンスクで要塞を建設して、攻撃から防御に転換している。この方面では徐々に南下していたロ軍は、要塞まで撤退を開始することになる。

プーチンは、6月12日の「ロシアの日」に勝利宣言する予定であり、10日までにセベロドネツクの完全な制圧をロ軍に命令したが、現状ではできていない。しかし、ルハンスク州の98%を支配下にしたので、勝利宣言をする可能性もある。しかし、再度、6月22日までにセベロドネスク制圧の命令が出たという。

しかし、ロシア国内では、ウ軍発表の3万1,000名のロシア軍戦死者より多い戦場行方不明者数が4万1,000名にも達しているようであり、家族からの問合せがロ軍やプーチン政権にあり、その対応を間違えると、国内の反戦につながるので、そろそろ停戦が必要になっている。

もし、これが本当なら、負傷者数は約3倍であるから、16万人が戦闘不能になっている。開戦当初の侵攻兵力15万人より多いことになる。これは、ロシア軍崩壊の手前であろう。

このため、国家親衛隊の犠牲者には500万ルーブルの慰問金が出るようであり、戦場には送らないとした徴集兵を戦場へ送ったことで、複数の将軍が取り調べを受け解任されているなど徐々に問題化してきている。

ということで、ラブロフ外相は、停戦開始を求めて、トルコに行き、エルドアン大統領に仲介を要請している。この見返りとして、ウクライナの港湾封鎖を解除して、穀物輸出ができるようにするというが、ゼレンスキー大統領は、戦争継続の方向である。2月24日の線まで押し戻すという。また、ロシア海軍の攻撃を防いでいる機雷除去もしないという。

その代わり、ウクライナの穀物は、ルーマニアまで鉄道輸送し、ルーマニアの港から輸出する方向で、検討されているようだ。

どうも、プーチン政権末期となり、ロシア国内では、ポスト・プーチンを誰にするのかの会議が開かれて、キリエンコ氏、メドベージェフ氏、ソビャニン氏とパトルシェフ氏などの名前が出ているようであるが、コバリョフ氏の名前はないようで、プーチンの思い通りにはならないようである。

そして、事実がプーチン退任の方向を示している。例年6月に行われる国民対話もなく、4月に出される年次教書も議会に発表していない。プーチンの病気か軍とFSBの不満からか、先は長くないようだ。

一方、ロシアは、戦争ではないので、国民皆兵の徴集はできないで、兵員不足が深刻で、これ以上の攻撃ができない。装甲車も不足して、倉庫から古い兵器を出してきている。全体的には、攻撃から防御に転換するしかない状態である。

そして、プーチンは、この特別軍事作戦は、ピュートル大帝の偉業と同じことであると本音を明らかにした。どうも、ウクライナは自国の領土であり、そこの政府は主権がない存在であり、ロシアの自由にできるということのようだ。国と認めていないので、戦争ではないということだ。

このように、専制国の指導者は、取巻きの汚職などで国内経済活性化ができないので、領土拡大しか希望がないことで、どうしてもこうなるのである。これはロシアだけではなく、中国も同様である。

国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • プーチン政権は終焉。ロシアの要人会議で上がる次期指導者の名前
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け