前回記事「コロナの痛手もインフレも放置。岸田政権が推進する日本の貧困化」で、コストプッシュ型のインフレが進み、コロナ禍から続く国民と事業者の困窮を放置する岸田政権を「ノー天気」「お花畑思考」と痛烈に批判した国会議員、地方議員の政策アドバイザーを務める室伏謙一さん。今回のメルマガ『室伏謙一の「霞が関リークス」増刊号』では、まるで「投票に行かないで」と言っているかのようなメディアの状況を批判。7月10日に投開票される参議院議員選挙の争点を論じるにあたり、日本の嘆かわしい現状を伝えています。
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参院選で争われるべき事項は何か、選挙において訴えられるべきことは何か
昨日、6月15日、第208回国会(常会)が閉会しました。波が穏やかというより波静かな国会が、淡々と進み、淡々と閉会したといったところです。国会が終われば、次に、というより目前に控えているのは、参議院議員選挙。6月22日公示、7月10日投開票の日程で行われることが決定されています。
今回の選挙は様々な候補者が立候補する予定であり、また「諸派」に分類される、これまで国会に議席がないか、あってもごく少数の政党、政治団体と言った方がいいかもしれませんが、そうした勢力も複数「参戦」する、これまでとは趣の異なる選挙になりそうです。
趣が異なると言えば、これまでの選挙であれば、選挙前の下馬評や候補者評が、新聞や週刊誌の紙面を賑わしたり、各党の戦略・戦術の話題、各党関係者へのインタビュー、討論が話題になったりしていましたが、今回の選挙は、まるで選挙などないかのような報道状況。目下話題になっていることと言えば、与党議員や過去の候補者のスキャンダル。これではまるで「投票に行かないでください。選挙に関心を持たないでください」と暗に呼びかけているようなものです。
そこで、今回の選挙において争点として争われるべき事項は何か、選挙において訴えられるべきことは何かについて、簡単に解説していきたいと思います(今回の選挙についての詳しい解説は、オンラインサロン「霞が関リークス 7月号」をご覧ください)。
現在、我が国は、長年にわたるデフレ状態で需要は収縮し続け、そこに新型コロナショックによって追い討ちをかけられ、無用な時短や行動制限によって強制的に需要が減少させられ、その結果生じた大きな損失に対して政府が微々たる協力金や給付金、貸付といった措置以外に補償も救済もしないために、飲食やそれに連なるバリューチェーン事業者、観光関連事業者を中心に極めて厳しい状況に置かれたまま事実上放置され、一方でこの状況下で事業転換やデジタル化、人件費増等を補助金を使って迫るという政府の頓珍漢な政策に翻弄され、着実に衰退への道を突き進んでいます。
加えて、今年2月に始まったウクライナ紛争は、昨年から上昇傾向にあったエネルギー価格を更に押し上げ、世界的な需給変動により小麦の価格も急騰するのみならず、各国が財政政策をフル稼働して国民経済の救済に努めたのに対して、日本だけは緊縮脳にとらわれて救済を怠ったため、米国等各国はコロナショックから急速に回復して、インフレ率も上昇傾向にあり、金利が引き上げられている一方、日本はあいも変わらず停滞したまま。その結果、円安が着実に進んでおり、原料価格の高騰に加えてこの円安によって輸入価格が上昇して、それが国内物価を押し上げるというコストプッシュインフレが、事業者や家計に更に打撃を与えてきています……(メルマガ『室伏謙一の「霞が関リークス」増刊号』2022年6月9日号より一部抜粋、この続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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