多くの人の心を掴む歌を作り上げるシンガーソングライターの長渕剛さん。彼が奏でるメロディーの原点はどこにあったのでしょうか?今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、長渕さんが母への思いについて語ったインタビューを掲載しています。
僕の中に脈々と生き続ける母の魂 長渕 剛(シンガーソングライター)
──長渕さんにとってお母様はどういう存在ですか?
どう振り返っても、母は僕の師ですね。僕が生まれる前に兄を生後間もなく亡くしていますので、念願の男の子だったと思います。
当時は高度経済成長の走りの頃で貧しかったですし、僕は非常に病弱なガキでした。父は警察官で地域のために一所懸命外回りをしていましたから、ほとんど家に居ない。
母から影響を受けたっていうか、ほとんど母子家庭みたいなもんです。一番厳しかったのは、「嘘をつかない」ということですね。
──ああ、嘘をつかない
小学生の時に習い事をサボったことがありました。その嘘が母にバレて、そういう時は決まって3回問い詰められるんです。神仏の前に正座させられて、「行ってないよね」と聞かれて「行った」って答える。
「2回目、聞くよ」
「いや、ちゃんと行ったんだ」。
で、3回目になるとやっぱり良心の呵責というか、3回も嘘をつくのかと後ろめたくなって、「嘘だよね」って言われた時に黙っちゃう。
そうすると、真っ暗な押し入れの中に1時間くらい放り込まれた後、再び神仏の前に正座させられ、母が「心はどこにある」と聞くんです。
僕は「……うーん……どっか、このへん」と自分の胸の辺りを指します。
すると母は、ビシッと、「どこだか分からないから、自分の心を示すために言葉と行動があるんだよ!言葉と行動そのものがあんたの心!!覚えておきなさい」と言うんです。