・掛け算だからこそ最大化する
ここまで読んで、やっぱり“掛け算”なんだなって思いますよね。だから、強みの一つに、「セレンディピティ」がありましたが、それも同じです。偶然によって生まれる幸せ感、みたいなものですよね。
そこで彼らは「ポケットパルコ」というアプリで「ウォーキング機能」をつけるんです。店舗でチェックインができるとともに、館内で500歩、歩けば、パルコポイント500コイン(5円相当)が支給されます。
人間の心理として歩いちゃうんです。だから半年間の計測で、チェックインとウォーキング機能を使ったお客様は「買い周りするお店の数が倍」に。そこに連動してそのお客様は当然、「単価が3割上がる」傾向が見られます。
つまり自分の長所を解った上でデジタルでの利用価値を模索しているから成果が出ているのです。ここが“掛け算”の元の数字が大きくないと、効果が最大化しませんよ、というお話の本筋です。
・本質がわかればウェブ3.0も怖くない
だから「ウェブ3.0」でもその言葉に踊らされず、本質を見ています。一言で「拡張性」と言っていて、自分達の強みと親和性の高い長所が活かされています。
例えば、ミュージアム。リアル会場ではAR体験でアーティストやタレンドなどと一緒に撮影できるなど、場所を最大化させる取り組みで付加価値を高めます。
一方で、ネット上ではリアルと同じスペースを用意しつつ、ネット独自の部屋に入れる仕様。両者は別物ですからそれぞれの入場料はもらっています。
ここで彼らが主張するのは「VR」の最大のメリットはリアルに必ず必要な飾り付けなどの物理的な要因がないこと。その分、拡張性があって、提案に幅ができるんです。リアルにはない特別な部屋にはリアルにもない作品を展示して、バーチャル上でアーティストと交流できるなどの要素を盛り込みます。
その先に見据えるのは、ネットだけで買える商品であり、ECサイトへと繋げるわけです。
冷静にみると、これらの掛け算は、強み自体をより強固なものにしていく過程の中で、最大化されるということ。デジタルというのは確かに有効なツールであるけど、それあってのこと。両方の理解とリスペクトなしにはこれから先の未来は語れません。
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