安倍元首相を利用する自民党。国葬実施で高まる年内解散総選挙の可能性

TOKYO, JAPAN - Apr 06, 2016: Meeting between President of Ukraine Petro Poroshenko and Prime Minister of Japan Shinzo Abe, in Tokyo
 

海外における国葬の事情はどうか。

アメリカでは、自ら辞退したニクソン元大統領らを除き、死去した大統領経験者は基本的に、国葬が執り行われてきた(4)。

イギリスの国葬は王室関係者が対象であるが、チャーチル元首相ら、特段の功労があった人物のみ、例外的に行われている。

国葬などの場での「弔問外交」も歴史的に注目される。

政治利用の懸念 自民党は組織維持のためならば「安倍晋三」をも利用する 年内解散総選挙の可能性

安倍氏の死去により、自民党内では、早くも「年内の衆議院解散・総選挙」の噂が飛び交っているという(5)。このことにより、安倍氏の国葬が政治利用しかねない。

安倍元首相の死去により、衆院4区では補欠選挙が行われる。公選法の規定によれば、小選挙区選出の議員が3月16日から9月15日までに死亡した場合、10月23日に補選が行われる。

ただ、昨年10月の衆院選をめぐる「1票の格差」についての訴訟が最高裁までつづき、現状、この判決がでるまでは補選も行うことができない。判決は年末になる見通し。

日刊ゲンダイの取材に対し、「9月15日までに最高裁判決が出れば10月補選ですが、判決が9月16日から来年3月15日の間だと来年4月に補選が実施されます。」(総務省選挙部管理課)だという。

一方、1票の格差是正をめぐる衆議院小選挙区を「10増10減」する新しい区割り案で、山口の選挙区は定数が4から3に減る。

「補選」と「減区」。この問題を解消しようと、公明党との問題も配慮し、年内の解散総選挙がささやかれているという。

解散総選挙と国葬。結局、自民党の組織維持のためならば、「安倍晋三」さえも利用するのが、自民党という組織の正体だ。

(1)NHK NEWS WEB「安倍元首相の「国葬」 ことし秋に行う方針 岸田首相が表明」2022年7月15日

(2)東京新聞デジタル「<Q&A>安倍晋三元首相の「国葬」が行われる理由は?費用はどうなる?」2022年7月15日

(3)國崎万智「安倍氏の国葬は「死の政治利用」と専門家。明治以降の歴史から読み解く、政府関与の“公葬”の危うさ」HOFFPOST、2022年7月17日

(4)産経新聞デジタル「功労者への「国葬」海外は 遺志継承の弔問外交も」2022年7月14日

(5)日刊ゲンダイDIGITAL「「年内解散・総選挙」安倍氏逝去による山口4区補選問題で急浮上 岸田首相が“奇策”を強行か」2022年7月14日

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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