日本の状況 感染拡大の予兆はあったのに 政府は参院選終了まで放置か?
ただ、第7派の予兆はあった。事実、地方では感染の拡大が、6月から始まっていた。
その典型例が島根県。6月28日に1日の新規感染者が過去最多の350人に達し、今月7月14日には3.3倍の1,600人にまで急増。
県の保健環境科学研究所の解析では、4月までゼロであったBA.5の割合が、7月1~5日までの検査分では、8割に達した。
丸山達也島根県知事は、今月7日の記者会見で、
「一番厳しい感染の上昇局面だ。島根県は全国に先駆けて、BA.5の急増県。フロントランナー」東京新聞7月15日付朝刊
と危機感を示す。
県は、4つの市で飲食時の人数を4人以下に、さらに認証店以外での利用は2時間までにするように要請。
それとともに、飲食店などを支援する特典付きチケットである「しまねプレミアムチケット飲食券」の利用期限を来年の1月末まで延ばすなど、対策を急いだ。
それでも政府の対策は鈍かった。このような「何もしない」対策の背景には、参院選対策と見る向きも。
政治ジャーナリストの泉宏氏は東京新聞(7月15日付)の取材に対し、
「岸田首相は、国民に行動制限への拒否感があるのを感じ取っている。選挙の前に国民に嫌われることはしたくない。だからウィズコロナで進めようと心に決め、行動制限もしない方針ありきでここまできた」東京新聞7月15日付朝刊
とする。つまり、参院選終了まで、コロナの「コ」の字も出したくなかったのだ。
世界の状況 欧州の新規感染者、世界の半分 しかし欧州でも検査が縮小傾実際にはそれ以上の数か?
一方、世界ではとくにヨーロッパでの感染の拡大が目立つ。
WHO(世界保健機関)が19日、欧州での新型コロナ拡大への対策を促す声明を発表した(*3)。
WHOは、過去1週間、ヨーロッパでの新型コロナの新規感染者の数が300万人にまで迫り、全世界における新規感染者のほぼ半分を占めたとする。また欧州では新規感染者が6週間前と比べ3倍まで増加、死亡者の数も毎週3,000人ずつ発生しているとした。
WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は同日、声明で、
「今直ちに行動に出ない場合、秋や冬にさらに厳しい措置が必要な状況に直面するかもしれない」中央日報7月21日
とし、
「秋まで待って措置を取れば遅すぎる。急いで対処しなければならない」中央日報7月21日
と警告。
ただ、ヨーロッパはマスクの着用が目立たず、そして日本と同様、検査の縮小も目立つ。そのため、クルーゲ局長は
「欧州のほとんどの国々が新型コロナ検査を中止したり大きく減らしたりしているが、これは危険な死角地帯を作ること」中央日報7月21日
と指摘。
また、Twitterでマスクをつけた自身の写真とともに、
「マスク着用が義務ではないからといって禁止されたわけではない」中央日報7月21日
というコメントを書き込んだ。
(*1)「第7波なぜ急拡大? BA.5が感染力強い理由『免疫逃避』とは」BSS山陰放送 2022年7月13日
(*2)日刊ゲンダイDIGITAL「最大規模の感染爆発『コロナ第7波』の正体が徐々に…冬の第6波を夏に超え、死者激増の可能性」Yahoo!ニュース 2022年7月20日
(*3「『全世界感染者の半分』にも防疫を手放した欧州…WHO『秋がさらに問題』警告」)中央日報 2022年7月21日
(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年7月24日号より一部抜粋・敬称略)
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