政府も統一教会に汚染されていた日本。『世界日報』を証拠に使った公安調査庁

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連日あらゆるメディアで伝えられている、自民党議員と旧統一教会との不適切な関係。しかしそんな「統一教会汚染」は議員のみならず、官僚たちの間にまで拡大していたようです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では著者で評論家の佐高信さんが、公安調査庁が25年余り前、旧統一教会と関係が深いとされる『世界日報』を証拠として用いていた事実を紹介。当時既にカルト教団と認識されていた旧統一教会と政府機関の繋がりを、批判的な筆致で記しています。

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統一教会の『世界日報』と出会った話

統一教会の機関紙ともいうべき『世界日報』に出会ったのは、オウム真理教に破壊活動防止法を適用するのに反対する弁明手続きの立会人としてだった。

地下鉄サリン事件等を起こしたオウムに破防法を適用するのは賛成の世論が8割の中で、それに反対するのは容易なことではなかった。一番の矢面に立ったのは弁護士の芳永克彦や内藤隆だったが、小沢遼子らと共に立会人となった私にも夜中に「お前は殺人集団の味方をするのか」といった電話が来たりした。

麻原彰晃の委任を受けて立会人になっているので、「破防法はオウムだけでなく、市民運動をする人たちをねらっている」と言っても、なかなか聞いてもらえなかったのである。

1996年1月18日の日記に私はこう書いている。

唇を引きむすんで法務省別棟へ。会場前には報道陣がぎっしり。

 

昼休み、同じく立会人となった同志社大教授の浅野健一さんたちと食事に行く時には、記者たちに取り囲まれて前に進めない。

 

その中で、破防法は劇薬であり、ズサンな公安調査庁にそれを扱わせることの危険性を話す。

 

終わった後の記者会見では、証拠の根拠の供述調書を出さない公安調査庁は、「もんじゅ」の事故隠しの勲燃以下だと批判した。

結局、適用は見送られたのだが、『オウム「破防法」事件の記録』(社会思想社)で浅野も『世界日報』を公安調査庁(公調)が出してきた時の驚きを書いている。

ジャーナリスト(浅野は元共同通信記者)の私が弁明手続きの中で最も驚いたのが公調が新聞記事のコピーを証拠として提供したことであった。

 

全国紙に混じって『世界日報』のコピーが入っているのを見たときは、何かの冗談だと思った。

桜田淳子らの合同結婚式が騒がれたのが1992年夏であり、すでに霊感商法も問題になっているのに、政府の一機関である公調が証拠として『世界日報』を使ったのである。ということは自民党だけでなく、政府(官僚)も統一に汚染されていたということだろう。

ちょっと記憶が薄くなるが、『世界日報』は統一の疑惑隠しのためにオウムを攻撃したのだったと思う。

世間を敵にまわしたような弁明手続きの中で、とりわけ不愉快だったのは、東京拘置所の中でのそれで、トイレに行こうとしたら、入口まで職員がついてきて、無線で、

「サタカはいま、トイレに入っています」

などと、どこかへ報告していることだった。

私自身は宗教(オウムや統一は宗教ではなくカルトだが)に惹かれることはないが、その信者もまた、この日本が生み出したものであり、それを隔離したり、排除したりして問題が解決するわけではない。社会の実態を知らない役人は、すぐに法律を持ち出して取り締まろうとする。薬害エイズの薬害をもじって言えば役人の惹き起こす“役害”こそ恐いのである。

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