懐かしの「aiwa」ブランドがスマホで復活。メーカーの思惑は「40代からの反応」?

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かつて隆盛を誇った日本のオーディオブランドの多くが、消滅したり買収されたりと寂しい状況になっているなか、40代以上には懐かしい「aiwa」の文字が新製品情報に上がってきて話題となっています。投入されるのは、「aiwa」のイメージに違わない“手頃な”値段とスペックの格安スマートフォン。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、手掛けるJENESISの狙いについて言及。成功すれば、消滅してしまった懐かしいブランド復活が続く可能性があると期待しています。

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aiwaブランドが復活し、格安スマートフォンを投入──かつて、aiwaを買うか迷った40代が前のめりに

JENESISは「aiwaデジタル」ブランドを立ち上げ、スマートフォンやタブレット、スマートウォッチを発売する。JENESISはアイワから「aiwa」ブランドのデジタル分野における商標使用権を取得しており、今回のシリーズが第一弾商品となる。

そもそもaiwaといえば2008年にソニーのもとでブランドが終わったが、2017年にアイワの商標を取得した十和田オーディオによってブランドが復活。今回はJENESISNがデジタル分野で製品を投入した。

発売されるスマートフォン「JA2-SMP0601」は、6.5インチで、CPUはUNISOC T310クアッドコア、ディスプレイは720×1600、RAMは2GB、ストレージは32GB、バッテリーは4000mAhとなっている。OSは新興国などで展開されているAndroid 12(Go edition)だ。発売記念価格は1万6800円となっている。

aiwaと聞いて前のめりになるのは40代ではないだろうか。筆者も学生時代、ヘッドホンステレオやCDラジカセなどが欲しかった際、「ソニーの製品には手が届かないが、aiwaやシャープなら買えるかも」と比較検討の対象になるブランドだった。

aiwaと聞いて、高級なブランドという印象は全くないため、今回出てきた製品に対しても「そんなモノか」という程度であり、冷静に見ることができる。かつて、名の知れたPCブランドや体験価値を提供する家電ブランドのスマートフォンが出てきたときは、ブランドと製品のスペック、デザインの乖離が大きすぎて、アゴが外れたが、今回のaiwaスマホに関しては何の感情も抱かない。

むしろ、かつてのaiwaを連想させる「手に取りやすいスマートフォン」を体現しているのではないか。ただ、やはりaiwaと聞いて「懐かしい」と感じるのは40代以上であり、そうしたユーザーが1万6800円のスマホを喜んで買うかといえば微妙だ。

「iPhoneは手が届かないからaiwaスマホを買う」という中・高校生のためのスマートフォンになるのであれば、aiwaブランドの認知をこれから上げていく必要があるだろう。

ただ、一方で、ゲームやYouTube、SNSで写真を上げまくりたい若者が満足できるスペックかといえば、かなり微妙だ。ヘッドホンステレオやCDラジカセであれば「とりあえず音が聞ける」だけで充分だったかも知れないが、スマートフォンとなると「とりあえずネットにつなげる」だけではユーザーの満足感は得られない。

JENESISとしては法人向け市場を開拓したいようで、40代に名の知れたブランドが欲しかった感もある。aiwaスマホが法人に受け入れられれば、それを真似する企業も出てくるのではないか。

かつて、オーディオ全盛時代に名の知れたブランドだったが、いまでは続々と撤退していったものも多い。ひょっとすると、これから格安スマホのブランドとして復活するなんてことがあるのかも知れない。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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