「最高裁判決」がお墨付きを与えてしまった!
1960年の最高裁判決が、「無届の医業類似行為が禁止処罰の対象となるのは、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務に限定される」という判断を下したからでした。
これが錦の御旗となり、民間療法は、それをもってして事前に害を及ぼすもの──と決めつけることはできないという解釈になったわけです。
こうして、カイロも整体も、エステも、タイ古式マッサージも、堂々と営業が行われ、国家資格者のほうが、かえって割を食っている現状があるわけです。
もちろん、厚労省もまったくの無関心というわけではなかったのです。
厚労省はたまに「注意喚起」するだけの放漫対応!
1991年には、最も危険といわれるカイロプラクティックの施術に対し、健康政策局医事課長名で通達を出しています。
「カイロプラクティック療法における頸椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を与える危険が大きい」として、警鐘を鳴らし禁止を促しました。
しかしながら、要するに、誰でも今日からこの手の商売ははじめられる状況──ということだけは認識しておきたいのです。
こうした業種にあっては、施術者が、人体の機能や構造をどこまで学んだかもわからない人たち──という認識であれば、過剰な期待をすることもなくなります。「自己責任」ということを忘れないことです。
ところでこの業界、高齢化社会やストレス社会を反映し、右肩上がりに伸びています。
副業としてアルバイトで従事する素人だけでなく、本気で脱サラして商売を始める人も多いのです。
たぶん、開業者に対して「施術のプロフェッショナル」と勝手に思い込む世間の人たちによる「麗しき誤解の産物」こそが、こうした状況を生んでいるのでしょう。
仰々しい宣伝をしているところ、もっともらしい医学的知見をアピールしているところ……いずれも無資格者が勝手にやっていることと、深く認識しておくことが大事でしょう。
騙されないように、気をつけて頂きたいのです。
今回はここまでとします。
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