トランプの“思惑”と高市の“ジレンマ”。新年度早々に円高誘導と円安進行が同時に迫る「日本経済の不安定構造」

Tokyo,,Japan,-,February,13,,2026:,Currency,Exchange,Rates,On
 

高市政権の財政政策やイラン戦争の影響も指摘される中で続く、記録的な円安の進行。そんな状況下で始まった今年度ですが、日本経済はどのような推移をたどることになるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では作家で米国在住の冷泉彰彦さんが、トランプ政権の動向や中東情勢を踏まえた「円高」「円安」の両シナリオを考察。その上で、為替の急変が資産市場や我々の生活に及ぼしかねない影響を検討しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:新年度、日本経済の環境変化を考える

「最後の輝き」としての円高はあるか。新年度、日本経済の環境変化を考える

日本式として考えると、まもなく新年度が始ります。春になって4月になれば会計年度も変わるし、学校では新学年になるということで、日常の季節感かもしれません。ですが、今回の場合は年度替わりによって、様々な変化への「扉が開く」ことになる中で、国民生活、企業活動、そして国の会計ということでも大きな変化を覚悟しておいたほうが良いと思います。

今回は、その直前予測ということで、円高か円安かという2つのシナリオに分けて考えてみたいと思います。勿論、その中間には現状維持という可能性はあります。ドル円が140から160のボックス圏で安定するというシナリオですが、今回はどうもそのような「甘い」予測をすることでは足りないと考えます。140を割る円高、170から180という円安の流れを考えて、これに対処するにはどうしたら良いのかを考えておきたいと思うのです。

現実味は低いが無視できない円高急騰シナリオの条件

現時点ではかなり低いという印象ですが、円高シナリオというのもストーリーとしては考えておいた方が良いと思います。それも、130円台から更に120円前後という高水準となる可能性もです。仮に120円となると、アベノミクス初期まで戻る格好になりますし、160円をベースに見ると33%の上昇ということで、相当にインパクトは大となります。

最初に結論を申し上げておきますと、この円高シナリオというのは可能性は低いと思います。ですが、仮にそうなった場合の影響は大きいと考えられますので、シナリオとして検討しておく必要はあると思うのです。

まず、円高シナリオの成立する条件ですが、ズバリ一つのファクター(要素)に左右される話だと考えられます。それはトランプ政権の動向です。どういうことかと言いますと、トランプ氏とその周辺のコア支持者は「ドル安」を強く望んでいるからです。まず、貿易においては輸入が減ることが国益というイデオロギーがそこにはあります。

何度も大統領自身が口にしているように、アメリカが中国などからモノを輸入するという場合、「彼らはアメリカを食い物にしている」とか「アメリカを利用してビジネスの利益を貪っている」という言い方がされています。つまり、グローバルな自由貿易、そして各国が国際分業に参加してサプライチェーンを築くという方法論は「グローバリズム」であり、それを推進してきたクリントン、オバマ、ブッシュは「グローバリスト」だというのです。

現在の政権はこの「グローバリズム」「グローバリスト」を打倒するために多くの人が票を投じたのであり、これを実現するにはドル安が一番だという信念があるのは間違いありません。どういうことかというと、例えばドルが安くて円が高いと、日本からアメリカへの輸入品はアメリカでの価格が上昇して売りにくくなるし、仮に売れても円での売上は圧縮されますから、日本側の意欲が減るわけです。

反対に、アメリカへ投資する場合は、円高ドル安だと日本には有利なので、ドンドン投資してくれるということになります。このロジックは、トランプ政権には終始つきまとっていますが、例えば中国との間では、為替が変動するとお互いが不幸になるので、通商戦争のような「にらみ合い」をやっている現在でも為替は安定しています。

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