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日本人の健康寿命、なぜ郊外よりも都市部の方が長いのか?

健康寿命は「郊外よりも都市部のほうが長い」というデータがあります。その理由のひとつが「住まい」なのですが、都市部のマンションは高齢者の生活に向いているようです。今回、メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で一級建築士及びマンション管理士の廣田信子さんは、高齢者に向く、向かないマンションについて詳しく語っています。

健康寿命は郊外より都市部の方が高いという驚愕データ

こんにちは!廣田信子です。

高齢者が長く自立して生活するためには、マンションはとてもいい環境なのです。健康寿命は、「住んでいるところ」の影響が極めて大きいと言います。

要介護2以上を不健康状態といいますが、85歳~89歳で要介護2以上の人は22.8%、90歳以上で要介護2以上の人は46.2%だと言います。85歳を超えると、要介護2以上の人は急に増えます。でも、90歳以上でも、要介護1以下の人の方が多いのです。

だったら、90歳代になっても、健康でいられるような生き方はなんだろうと考えたとき、都市部のマンション住まいは向いていると言います。

昨日、聞いたセミナーの中で、その根拠として、健康寿命は、郊外より都市部の方が高いという明確なデータがあってちょっとびっくりしました。

1.買い物等の利便施設が近くにあって自立した生活がしやすい
2.何かあったときの助けを得やすい
3.人が集まる機会が多く、よい生活習慣につながる

そういうことの積み重ねが健康寿命には大きく影響するのです。一人暮らしでも、長寿命化がしやすい「住まい」とは、

1.自立生活が可能な環境
2.コミュニティによるケア
3.サービスによるケア
4.建物・設備によるケア
5.医療、介護によるケア

が望めるところだといいます。

若い時に入居していた「住まい」は、高齢者には向かない「住まい」の可能性があります。戸建住宅の階段の上り下りが、高齢者にはきつくなり、怪我にもつながります。庭も草取りができずに、ぼうぼうになってしまいます。広いマンションは維持するのにコストが掛かり過ぎます。

ですから、高齢者の専門家は、早いうちにセカンドライフ、サードライフを送る「住まい」を考えた方がいいと言うのです。

住み慣れた環境に、そのままいたいと思う気持もわかりますが、最近は、高齢化が当たり前になり、自分の今後の人生を考えたときに、このままでいいのかを考える人が増えています。

私は、ごく身近な人が、戸建住宅で掃除機を持って2階から降りるときに誤って転んで、大腿骨を骨折してしまいました。その後、歩けなくなるばかりでなく、その影響で、肺の病気を発症し、そのまま、元気になられることなく、亡くなってしまいました。

とてもお元気な方で、年もまだ若かったのに、ショックです。階段での骨折がくやまれます。骨折が高齢者に与える影響の大きさを思い知りました。もし、マンションにお住まいだったら、そんなことはなかっただろうと思ってしまいます。

最近は、高齢になってから、戸建住宅からマンションに住み替える人が増えています。自立生活が可能な環境という面が大きいと思いますが、そこに、挨拶や声掛けが自然にできるコミュニティがあれば、心強いでしょうし、できれば、何かあったときは、手を借りられるようなサービスもあれば、長く、自宅で暮らせます。建物、設備のケアも、共用部分は改修も進んでいますし、専有部分も行政のサポートが受けられます。

マンションは「高齢化が問題」というのではなく、マンションは「高齢者が元気に暮らせる「住まい」」だと発想を変えてみる時期なのかもしません。

来週、マンションコミュニティ研究会で、こういった問題を考えるアンケートを実施します。ぜひ、ご協力をお願いします。その打ち合わせの中で、「障害者差別解消法」における「合理的配慮の提供」について話題になりました。

障害がある人は、社会の中にあるバリアによって生活がしづらい場があります。この法律では、役所や事業者に対して、障害がある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何かの対応を必要としているとの意思が伝えられた時、負担が重すぎない範囲で対応することを求めています。

その法律が、2021年6月4日に改正になり、改正法公布日から3年以内にマンション管理組合や自治会等も事業者に相当することになり、対象となります。私は、恥ずかしながら、そのことを知りませんでした。

高齢者も、バリアを取り除くために対応を求めて、それをに対して、管理組合や自治会が、無理のない範囲でできることを考えていくことも、必要になるのです。

マンション内には、自分が元気なうちは、何か協力をしたいと考えている方もいるはずです。それらを何らかの形で無理なく繋ぐことができるようになれば、マンションは、できるだけ高齢者が自立して、周りとの関係も築き、元気に生きるのにふさわしい「住まい」だと高齢化をプラスに考えることを、言えるようになるかもしれません。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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