難しさはそれだけではありません。人間の「慣れる」という心の“癖”が邪魔をし、ヒヤリ・ハットをヒヤリ・ハットと知覚しなくなってしまうのです。
特に、業務量が多い、仕事のプレッシャーが高い、人間関係が悪い、サポートを得られない、休みが取りづらい、残業が常態化している、息の抜けない作業が多い、人手が不足している、トップやリーダーの安全に対する認識が低いといった職場環境だと、「ミス」が当たり前になりがちです。
むろん、個人の資質、注意不足、ヤル気のなさが、ミスにつながることもありますが、実際には環境の影響が大きい。だからこその「働き方改革」であり、トップの存在なのです。
幼稚園など保育の現場は、これまでも重労働、低賃金が問題視されてきました。子供のケアだけではなく、報告書や書類の作成、保護者への対応、各行事の計画や準備などなど、「机での仕事」が山ほどあります。慢性的な人手不足から、保育士さんが自分の子供がほしくても我慢するという、異常事態も報告されています。
今回のような痛ましい事件が2度と起こらないためには、すべての保育士さんたちがイキイキと元気ではたらける環境づくりが、極めて重要です。対策マニュアル作り→実施の徹底だけではなく、「働いているのは人」という当たり前を忘れないでほしいです。
みなさまのご意見、お聞かせください。
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