小林よしのり氏が総括。安倍「個人崇拝」国葬で日本が世界に晒した恥

 

そして日本武道館で行われた肝心の葬儀だが、テレビ中継では滞りなく行われたように見えたが、会場で取材した日刊ゲンダイは「実際は超グダグダ」だったとリポートしている。

これが安倍氏国葬の内幕…会場では水しか飲めず、官僚は寝落ち、超グダグダ進行に怒号まで

段取りが悪く、献花にやたらと時間がかかってダラダラと時間が延び、あまりの退屈さに「怒号」まで飛ぶ、ひどい始末になっていたという。

何時間もの長丁場にもかかわらず、会場内は飲料持ち込み禁止で、お茶もコーヒーもなく「水」しか飲めない。そのうえマスク着用だから、海外からの参列者には大変な苦痛を与えてしまったようだ。

しかも献花の際のBGMの一曲に、歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲が使われていた。

この歌劇は、主人公が元カノと不倫していたのがバレ、元カノの夫と決闘して殺されるという話で、どう考えても「国葬」にふさわしくはない。オペラを知ってる外人が聞けば、これが何の曲かわかって大恥になってしまうはずで、何から何までが失敗していたのだ。

そんな中でもさらに大失敗だったのが、岸田首相の追悼の辞だった。十数分にも及ぶ長さなのに大した中身もなく、あまりのつまらなさに「寝落ち」している官僚もチラホラいたという。

逆に大いに評価を上げたのが菅義偉前首相の弔辞で、首相時代の答弁とは全く違って情緒を前面に出した言葉に「感動した」との声が多くあったようだ。

もっともわしは、菅が安倍銃撃の報を聞いて現地に駆け付けた際の、安倍の様子について「あなたならではの、あたたかな、ほほえみに、最後の一瞬、接することができました」というところなど、露骨に「盛った」部分が鼻について、ちっとも感動しなかった。菅が対面した時には安倍はもう瀕死の重態で、表情筋が動くような状態だったはずがないのだ。

菅の弔辞では、銀座の焼き鳥店で安倍に、自民党総裁選に返り咲きを目指して出馬するよう促し、3時間かけて説得に成功したことを「生涯最大の達成」と述べた部分が特に絶賛されていた。

だがこれも相当に「盛った」話で、実際にはこの時期には既に「安倍待望論」があり、本人も出馬に乗り気で、説得に3時間もかかったわけがなく、菅はせいぜい「背中を押した」程度だったらしい。

それまでにも安倍を説得した議員は他に何人もいたのに、これによって菅が第2期安倍政権を誕生させた「手柄」を独り占めしたものだから、安倍周辺の議員はみんな歯ぎしりしており、「自分だって説得した」と、安倍と会食した当時の記録を漁っている人もいるほどだという。

この弔辞で菅に「主役」を持っていかれてしまった岸田は相当に落胆したようで、関係者の間では冗談めかして「支持率より落ち込んでいる」とも言われ、「次の首相は菅に」という声も高まっているという。

紛い物のセレモニーである「国葬儀」は、肝心の故人に対する追悼などそっちのけで、自己顕示欲のエゴをさらけ出して、権力争いまで始めてしまう場となってしまっていた。

そして「自己顕示欲のエゴ」といえば、三浦瑠麗の「シースルー喪服」だ。

あの突飛な服装で参列し、しかもその喪服姿で悠然とネコをあやすポーズを決めた、見るからにナルシシズムに浸っている、ブロマイドみたいな写真をインスタグラムに載せた行為などは、自己顕示欲の最たるものだといえよう。

三浦は「国葬」の招待状の写真をツイッターに投稿して欠席を表明した蓮舫や辻元清美に対して「はしたなく見えるのでやめた方がいいと思いますよ」と言っていたが、これには当然ながら「あんたの方がはしたない」「国葬の主役って誰だっけ」「国葬に出席したというよりも、社交パーティーに行ってきましたというのか。悪目立ちしてない?」といった批判の声が殺到、「巨大ブーメラン」となった。

三浦にとってこの「国葬」は「安倍の追悼の場」ではなく、「私の晴れ舞台」だったのだ。

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