その他方面
ロ軍の精鋭部隊が少なくなり、バクムット周辺やドネツク市周辺で、ロ軍は突撃の人海戦術の攻撃になり、一部効果が出ている。これでムコライカ・ドロカやゼレニー・ハイなどをロ軍は占領した。
しかし、この地域を攻撃するなら、その兵力をクレミンナやセベロドネツクなどに送った方が良いような気もするがどうなのであろうか。ワグナー軍と正規軍の仲が悪いので、地域を分けている可能性はある。
しかし、ロシア軍全体の統制が取れていないような気もする。
また、ロシアのペスコフ大統領報道官は、ウクライナ4州の併合での国境線は、ザポリージャ州とヘルソン州では、住民と協議のうえで決めるという。ロシアの国境線も決まっていないようで、国全体の統制も取れていないようだ。
その上に、ロシアのウクライナ国境から200km以上も離れたVKSの「シャイコフカ航空基地」にドローン攻撃されて、Tu-22Mバックファイアー爆撃機2機が破壊された。しかし、このドローンの素性も分からない状態である。もし、本当なら巡航ミサイルと同等にドローンを使い、ロシア領内の多くの地点を攻撃できることになる。また、ロシアの防空体制に穴があることになる。また、ロシアの脆弱さが明らかになるようだ。
動員・装備面
部分動員兵は、数日で前線に送られているが、戦闘経験もなく、ウ軍の攻撃にすぐに逃亡したり降伏するので、ロ軍の崩壊を早めている。
また、ロシア国内でウ軍への降伏電話番号がある程度知れ渡り、前線に出た動員兵からの降伏電話が、多数掛かってくるので、大変忙しいようである。というように、動員兵が、ロ軍の戦力になっていないようである。
また、動員兵は、装備を買う必要があり、その装備一式が25万円程度するということで、買えない動員兵は、軍服もない状態であり、冬服もないという。銃も旧式のものか、錆びだらけのものが渡されるという。動員兵用の服も装備もない。兵舎もなく、野原で野営するしかなく、テントもない。
これから冬に向かい、倉庫にあるはずの50万着の防寒着もない状態であり、今戦場にいる兵も凍傷にかかり、戦えないことになる。
ロシアの汚職は徹底的であり、あるべきものがないので、戦える軍隊になっていない。社会全体で汚職が蔓延した国は弱い。軍の補給担当の汚職も激しいのであろう。
ということで、状態を知ってか、ロシア国内では、男性の若者を中心に徴集逃れの国外への脱出が起きていて、現に部分動員発令以後でも100万人以上が国外に出たし、開戦時からでは700万人もの人が、国外に出たという。予備役200万人の内30万人の部分動員でこうである。
どちらにしても、ロシアから有能な若者は消えて、軍隊も社会も担い手を失い、社会的衰退を招くことになる。総動員は夢のまた夢であろう。
国内紛争
雇用軍事会社ワグナーのプリゴジン氏と軍トップのショイグ国防相との対立もあり、内部分裂状態のようである。強硬派を中心にショイグ国防相の辞任を求めているが、その裏にはプリゴジン氏がいるようだ。
そして、ウクライナ情報総局によれば、モスクワではゾロトフの国家親衛隊によるロシア軍参謀本部の大量逮捕が始まった模様で、このため、モスクワ市内の交通網が封鎖されたという。真偽のほどは分からないが、本当なら、ロシア内部で国家紛争になっているということになる。国家ぐるみの汚職であるので、逮捕理由は簡単である。
また、ロシアの雇用軍事会社ワグナー系の「GREY ZONE」のテレグラムにショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長が辞任という怪情報が流れている。
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