核攻撃の可能性
プーチンは、国内で戦争に負けていると非難され、部分動員に対する徴集逃れ、徴集した兵の訓練・装備がないこと、軍と雇用兵企業との対立などの国内問題を抱え、かつウクライナ4州の併合で対外的には孤立化して、戦場では冬まで持たないなどがあるのに、停戦の目途もない。八方塞がりの状況になっていた。
その上に、プーチンが誇りにしていたクリミア大橋をウ軍に70歳の誕生日翌日に破壊された。プーチンは怒ったようである。
メドベーシェフは、「クリミア大橋破壊がウクライナの最後の日になる」と述べていたが、その事態が発生したことになる。ロシアの強硬派は、キエフに核攻撃をするべきと言っている。いよいよ、核戦争になる可能性が出てきた。
クリミア大橋破壊前に、米国のバーンズCIA長官は、プーチンが核兵器を使用する危険な状態になっていると警告していたが、より可能性を増した。
そして、とうとう、米バイデン大統領は、ハルマゲドンの可能性が出てきたと述べて、「世界最終核戦争」の危機にさらされているとして、プーチンにとってのウクライナ侵攻の「出口」を模索していると述べた。
しかし、ジャンピエール米大統領報道官は、核兵器使用を示唆したロシアのプーチン大統領の発言に対し、バイデン大統領が「冗談を言っていない」と警告したことに関し、「ロシアが差し迫って核兵器を使用する準備を進めている兆候はない」とした。
しかし、米国もロシアと協議して、停戦の条件を探り始めているようである。核戦争にはしないように先手を打つ必要になっているからである。
戦争終結は
テスラCEOのイーロン・マスク氏も、第3次世界大戦になるくらいなら、ウクライナが譲歩して領土を割譲しろと述べたが、ウクライナから猛反発を受けて、すべては戦争が決めると言い直しているが、ロシアとの核戦争を恐れたことによる。
そして、独メルケル元首相も、今後の欧州安全保障をロシアと協議するべきであると述べて、非難されているが、これも核戦争を恐れているからである。
というように、核戦争になるくらいなら、ここで停戦を望むという声も出てきている。ロシアも2月24日の状態で停戦なら受け入れるようであり、ロシアのペスコフ大統領報道官もルガンスク州とドネツク州は2月24日以前の線が国境と言っている。
米国や欧州の依頼もあり、トルコのエルドアン大統領は、プーチンと電話会談し、ウクライナ戦争の平和的な解決に貢献したいとの意欲を改めて示したという。この停戦案も2月24日領域または、クリミアだけロシア領とする案であろう。
というように、そろそろ、ロ軍のボロ負けが見えてきて、国内騒乱状態であり、国民はウクライナ戦争を望んでいないことも分かり、クリミア大橋も破壊されて、プーチンも諦めて、停戦を受け入れることになりそうである。
ウクライナのゼレンスキー大統領への説得は、米国のバイデン大統領が行うことになるとみる。これで、今後の世界は、ロシアを属国化した中国と西側の盟主米国の対決になっていくようだ。ロシアの没落は決定的になる。そして、冷戦の復活である。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2022年10月10日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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