アベノミクスの大ウソが露呈。円安で確定した日本の“衰退途上国”入り

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1990年8月以来となる、異常な円安に見舞われている日本。首相や財務相は「高い緊張感を持って注視する」と繰り返すばかりですが、果たしてこの状況から抜け出すためには何から手を付けるべきなのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、「アベノミクスを断ち切らなければ前には進めない」と断言。さらに景気が回復しない原因が「日本人のデフレ体質」にあり、アベノミクスは誤りではなかったとする日経新聞のコラムを「倒錯だ」と切って捨てています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年10月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

32年ぶりとかの「円安」で浮き足立つ政府・日銀/アベノミクスをはっきり断ち切らないとこの国は前に進めない

円相場の下落に歯止めがかからない。10月14日には148.42円と、150円台にまで届くかという下落ぶりで、これはバブル最終盤に円、株、債券が入り乱れて投げ売りされバブル崩壊に突き進んで行った1990年8月以来の水準と言う。もちろん直接のきっかけは、米FBR(連邦準備制度理事会)がインフレ退治のための大幅利上げ路線を貫いていることによる米日金利差の拡大で、円売り・ドル買いの動きが加速していることによる。

しかしそれは世界中で起きていることで、各国とも利上げによる自国通貨防衛に懸命だが、日本はアベノミクスの呪縛でグルグル巻きになり手も足も動かせない有様で、世界通貨戦争の舞台から独り場外に取り残されている格好である。安倍政治の腐臭に満ちた負の遺産はそこらじゅうにゴロゴロしているけれども、中でも最大の迷惑はアベノミクスという壮大な錯誤によってこの10年間にも一段と国力が衰微し、いまや「衰退途上国」の代表格とまで呼ばれ始めているというのに、岸田文雄首相はあろうことかその安倍に疑似国葬まで施して菊花を捧げてしまった関係上、ますます断固としてこの錯誤を断ち切ることができなくなっている。

岸田は、「新しい資本主義を進めるための総合経済対策」を10月中にまとめるとしているが、アベノミクスの総括さえまともに出来ないあやふやな基礎の上にどんな絵を描いても、国民を納得させ安心に導くことはできないし、ましてや円崩落に神経を尖らせている国際金融界に正しいメッセージを届けることなどできるはずがない。下手をすれば、英国のトラス新首相が9月に発表した経済対策が減税やエネルギー価格高騰への補助金など口当たりのいい施策の財源を国債増発で賄おうとしたことが反発を呼び、金融市場が混乱、就任後38日しか経っていない財務相を更迭せざるを得なくなった失態に近いことが日本でも起きかねない。

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