解説
ファイブアイズとは米英などアングロサクソン系の英語圏5カ国による機密情報共有の枠組みです。
米英が立ち上げカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わりました。「エシュロン」と呼ぶ通信傍受網で電話やメールなどの情報を収集しています。
参加国の情報機関は相互に傍受施設を共同で活用します。長らく公式に存在を認めていませんでしたが2010年の関連文書の公開で活動が明らかになりました。
またシギント(SIGINT、英語:signals intelligence)とは、通信、電磁波、信号等の、主として傍受を利用した諜報・諜報活動のことです。
この岸田首相が調印したオーストラリアとの安全保障条約は、この機密情報共有のファイブアイズに日本が加盟する布石となるのではないかというのです。
しかしながらファイブアイズに日本が加盟するためにはハードルもあります。さらに記事を抜粋しましょう。
しかし、日本の同盟国との安全保障協力の緊密化には、まだハードルが残っている。
米国や他のパートナーとの情報共有は、日本が機密情報を扱う能力に関する長年の懸念によって妨げられてきた。
日本の情報政策に関する本の著者で香港城市大学教授のブラッド・ウィリアムズ氏は、「率直に言って、日本は伝統的に情報漏洩をしてきた」と語った。
オーストラリアも日本も、世界的な諜報活動で活躍するために必要な海外情報工作員や外国人情報提供者の軍隊を持っていない。
日本には、アメリカのCIA、イギリスのMI6、ロシアのFSBはおろかオーストラリアの小さなASIOに相当する海外スパイ機関も存在しない。
たしかに日本にもスパイをより厳しく罰する法律が導入された。
しかしまだ日本の機密保持能力は不十分である。オーストラリアは、日本に渡す情報にはファイブアイズ・ネットワークから得た情報を精査することを余儀なくされそうだ。
解説
ファイブアイズというアングロサクソンの同盟に日本だけが加わる事の意味。
そのプラス、マイナスは何か?シビリアンコントロール(文民統制)が効く形で日本が諜報機関を持てるのか?
本当に考えさせられる視点です。
しかし、残念ながら日本の新聞を読んでいるだけでは、その発想、視点は浮かびません。
もう一つ、気になることがあります。
日本の新聞では「新安保宣言に署名」という書き方ですが、このサウスチャイナモーニングポストではsigning a security pact「安全保障条約に調印」と書いています。
宣言と条約ではまったく語感が違います。
日本の新聞かサウスチャイナモーニングポストのどちらかが間違っているのか?
または意図的に日本の新聞が「条約」ではなく「宣言」という言葉を翻訳に選んでいるのか?
ちなみに私が見た海外の新聞はほぼ全部Security Pact(一部Agreement)という言葉を使っています。
一般的には「安全保障条約」と訳されます。 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』10月23日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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