統一教会を解散にまで追い込めるのか?いまさら聞けない「質問権」について解説

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11月7日、旧統一教会に行使する質問権の運用基準案を固めた文部科学省。その解散を求める声も数多く上がっている旧統一協会ですが、質問権はどこまで教団の真実に迫ることが可能なのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』ではジャーナリストの伊東森さんが、質問権とはいかなるものなのかを解説。さらに指摘される課題や限界についても紹介しています。

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旧統一教会へ初の「質問権」行使か? 質問権とは? 一方、教団側、自民議員と「政策協定」を締結

旧統一教会などの問題が尾を引き、内閣支持率の下落が止まらないなか、岸田首相は、

「前例のない対応」(*1)

を決めた。宗教法人法に基づく「質問権」を初めて行使し、教団を調査する方針。「解散命令」につながる可能性もあり、教団をめぐる問題では、大きな転換点を迎える。

そもそも政府は当初、「信教の自由」との兼ね合いもあり、解散命令については消極的だった。9月に国会内で開かれた野党の会合では、文化庁は、

「旧統一教会の役職員が刑罰を受けた事案を承知しておらず、『解散命令』の請求の要件を満たしていないと考えている」(*2)

とする。しかし、10月に入り、教団と山際経済再生担当大臣との関係が判明したあたりから変化が。10月6日の代表質問で岸田首相の答弁に変化が。

「『解散命令』の請求は『信教の自由』を保障する観点から『慎重』に判断する必要があると考えているが、宗教団体に法令から逸脱する行為があれば『厳正に対処』する必要がある」

と、「慎重に」とは言いつつも、しかし「厳正に対処する」という微妙な変化がみられた。

目次

  • 質問権とは
  • 「質問権」をめぐる課題
  • 教団側、自民議員と「政策協定」 教団関係者「ここ最近のこと」

質問権とは

質問権は宗教法人法により、規定。1990年代のオウム真理教が絡んだ一連の事件を受け、1996年に法制化。しかし、実際に行使された例はない。

質問権

 

宗教法人に法令違反など疑われる場合、運営実態などの報告をもとめたり、質問できる。

 

宗教法人 質問に応じない・虚偽の報告→代表の役員 10万円以下の過料(*3)

宗教法人法では、宗教法人に法令違反などが疑われる場合、文部科学省などが運営実態などについて報告を求めたり、質問したりすることができる。

その後の手続きで、裁判所の決定次第では、宗教法人の「解散命令」につながる可能性も。

質問権における手続きでは、「信教の自由」を妨ないための一定のルールが。政府が質問権を行使する場合、有識者などの審議会の意見を聞かないとならない。

質問の結果、法令違反などを確認し、「著しく公共の福祉を害する」などと判断された場合、裁判所に解散命令を請求することができ、裁判所は実際に命令を出すか判断する。

つまり、政府は“一気に”解散命令を裁判所に請求するのではなく、「信教の自由」との関係を踏まえ、手続きに時間はかかっても調査を行い、具体的な事実関係を把握したうえで、請求を検討する方針だ(*4)。

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