統一教会を解散にまで追い込めるのか?いまさら聞けない「質問権」について解説

 

「質問権」をめぐる課題

質問権の行使にあたり、政府は基本的な考えや基準が必要だとし、25日、初めての専門家会議を開いた。

一方、旧統一教会の勅使河原秀行教会改革推進本部長は20日、会見で、

「仮に質問が、実際に私どものところに来た時には誠実に対応します。質問権の行使にかかわらず、すでに宣言している、“教会改革”を進めることを粛々と続けて参りたい」(*5)

と話す。

一方、宗教法人法に詳しい近畿大学の田近肇教授は、NHKの取材に対し、「質問権」の行使については、原則として法人の管理や資金に関することが対象になるとし、

「あまり踏み込みすぎると、憲法で保障される『信教の自由』との関係で問題が生じるおそれがある。

違法な活動が問題になった際に宗教上の問題にまで踏み込んで質問することができるのか、あるいは、どういう形であれば質問できるのか、考え方を整理しておく必要がある」(*6)

とした。

ただ、質問権は警察の捜査のような強い権限はなく、教団の帳簿などを強制的に提出させることもできない。田近教授は、

「組織的、あるいは継続的に悪質な行為をしていることを証明するのは、決して簡単なことではない」(*7)

とする。

教団側、自民議員と「政策協定」 教団関係者「ここ最近のこと」

一方、教団の友好団体である「世界平和連合」と「平和大使協議会」が、今年に夏の参院選や昨年の衆院選の際、自民党の国会議員数十人に対し、憲法改正や家庭教育支援法の制定などに賛同するよう明記した「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが、朝日新聞の取材で明らかに。

教団の関係者は、

「選挙で推薦確認書への署名を求め始めたのはここ数年のこと」(*8)

とする。

選挙を実際に支援しても主張が取り入れられないのは問題との声が教団内で強まったからであるという。また昨年夏の菅政権下でも、新型コロナ対応をめぐり、逆風にさらされ、

「衆院選は厳しい戦いになると考えていた。教団側に頼らざるを得ない状況だった」(*9)

とある国会議員の秘書は話した。

政策協定とは、選挙の際に政党や候補者と業界団体や労働組合などが結ぶ。候補者は支援を受ける代わりに選挙当選後、団体などが掲げる政策に取り組む。

自民党は、衆院選や参院選における政策集に家庭教育支援法や青少年健全育成基本法の制定を盛り込んでおり、推薦確認書の内容も一致する。あるいは、憲法改正や安全保障の点についても重なる部分は多い。

引用・参考文献

(*1)清水大志「旧統一教会に『質問権』初行使へ 世論で動いたその舞台裏」NHK政治マガジン 2022年10月20日

(*2)清水大志、2022年10月20日

(*3)清水大志、2022年10月20日

(*4)清水大志、2022年10月20日

(*5)「旧統一教会問題 25日から『質問権』行使のため専門家会議開催」NHK NEWS WEB 2022年10月25日

(*6)NHK NEWS WEB、2022年10月25日

(*7)NHK NEWS WEB、2022年10月25日

(*8)朝日新聞、2022年10月20日付朝刊

(*9)朝日新聞、2022年10月20日

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年11月5日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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