クルマ「走行距離課税」は脱税し放題?レジ袋有料化より酷い天下の悪税にドライバー猛反発、「地方が死んでしまう」の声も

2022.11.09
by たいらひとし
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「これは国民の理解を得られないだろう」と、あの自民党議員・三原じゅん子氏までも批判を表明している、自動車への「走行距離税」の導入検討。これに今、クルマがなくては生活が成り立たない地方生活者や、送料無料などで過労死が頻発している運送業界などから批判が殺到している。SNS上には、「メーターの数字で申告するのなら脱税してやる」との過激な声も。あまりに理不尽で不安だらけのマイカー税徴収案だが、日本政府は何がしたいのだろうか?

庶民は「脱税」で対抗?穴だらけの走行距離税、誰も払う気なし

車で走れば走るほど税金がかかるという「走行距離税」。実際に導入されるかどうかは現時点では不明だが、いま問題になっているのは導入された場合の「走行距離の確認方法」だ。

カーナビのGPSやドライブレコーダーは搭載していない車もまだまだ存在するため、税制としてこれに依存する可能性は低い。となると、やはりどの車にもある「メーター」で距離を測ることになるのだろうか。

しかし、区間走行距離が分かる「トリップメーター」はリセット可能なので、いくらでもごまかせてしまいそうだ。累計の走行距離が分かる「オドメーター」も、交換すれば0にすることができてしまう。何せ、中古自動車を高く売るためにメーターの走行距離の増減をイジっている専門業者もあるくらいだ。

さらに「デジタル走行距離計」でも、特殊なソフトを使えば改ざんできるという情報もある。

一般社団法人自動車公正取引委員会の公式サイトによると、走行距離計を交換した車両には「走行距離計交換歴車シール」、走行距離計を改ざんした車両には、「走行距離計改ざん歴車シール」を貼ることになっている。

しかしSNS上では、自動車関連業の人々を中心に「いくらでも改ざん方法がある」との指摘が相次いでおり、「抜け道」をふさぐのは容易ではなさそうだ。

こうした不正をおこなうドライバーが出てきた場合、不正に対してさらに罰金を科したり、ごまかしが効かないメーターの設置が義務付けられるようになるなど、新たな天下り団体が儲かるような「対策」が打たれるとの見方も。

走行距離税はクルマの長所を帳消しにするような理不尽な税だ。どんな確認方法が採用されようとも日本国民の理解を得るのは難しいだろう。ネット上には「強引な税金」の導入に疑問の声や怒りの声が多くあがっている。

矛盾だらけ、天下の悪税で地方・旅行業が死亡

脱炭素化を推進するという名目で、今までは電気自動車やハイブリッド車には国や自治体から補助金や税制上の優遇措置が行われてきた。しかし、この「走行距離税」が導入され排出量別課税が撤廃された場合は、炭素の排出量が高い車の方が税金が安くなる逆転現象が起こる可能性もある。これでは「SDGs」の流れにも逆行することになりかねない。

コロナで疲弊した観光業を盛り上げるために「全国旅行支援(県民割)」をおこないながら、片方で「走行距離税」を導入すれば、県外へのドライブ旅行もできなくなる。

観光バスを使うなど自分で運転しない手段を使うとしても、全ての車両に走行距離税が義務づけられた場合、ツアー料金に上乗せされ、旅行代金の値上げは必至だ。

全国各地で鉄道の廃線や路線バスの廃止・縮小を余儀なくされており、ますます地方在住者にとって車は欠かせないものとなっているはずなのに、この悪法が導入されれば、身動きがとれなくなる国民は急増するだろう。

政府は「運送業界」を殺す気なのか?

さらに深刻なのが運送業界だ。

Amazonや楽天などの「送料無料」が定番化し、その負担は運送業界の末端にまで及んでいる。トラックドライバーは過酷な労働環境を強いられており、昨今は「過労死」する従業員が後を絶たないと言われている。この状況下で、さらに「走行距離税」の負担が増えれば、死人の山を築くことになってしまうだろう。

当然、運送運賃も値上げせざるを得なくなり、より物価高に拍車がかかっていくに違いない。

与党議員すら反対する今回の新税がもし導入されてしまえば、喜ぶのは国税庁と政府だけ。かの悪名高き「レジ袋有料化」もぶっ飛ぶ「天下の悪税」となるのは間違いなさそうだ。

もっとも、この走行距離税が導入されるまで岸田政権が持つのかどうか定かではないが……。

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