では、この裁判はどうなったか。
会社が負けました。
裁判所の判断は次の通りです。
・長時間の労働が継続すると、労働者の心身の健康を損なう危険があることは周知の事実である
・会社は極めて長時間の残業をさせたことで、突然死を予想できたと言え、このアルバイトの年齢や入社時の健康状態、体調不良を訴えなかったことなどをもって、会社に責任がなかったとは言えない
・よって労働時間を適切に管理できていなかった会社に責任がある
いかがでしょうか。
この突然死はおそらく会社にとっても本当に「予想もしなかった」ことかも知れません。
雑誌編集の現場というと徹夜も当たり前のようなイメージがありますが、実際にこの会社にもこの亡くなったアルバイトよりももっと長時間働いていた社員がたくさんいたようです。
入社してたったの2ヶ月、しかも21歳と若いアルバイトが「まさか」という気持ちはわからないでもありません。
ただ、そうだとしても「長時間労働は許しませんよ」というのが今回の裁判のポイントです。
私自身、労働時間が決して短かったわけではありませんし長時間労働が常態化した会社にもいました。
ですので、長時間労働が「つい」発生してしまう状況は理解しているつもりではあります。
ただ、裁判になると長時間労働は非常にわかりやすく会社に不利に判断をされますし、長時間労働が発生した状況によって(「忙しかった」「人が足りてなかった」等)会社に有利に考慮されることはまずありません。
長時間労働の解消は非常に難しいです。
ある意味、労務関連の問題でいうとラスボスくらいの最高レベルとも言えます。
ただ、どこかで覚悟を決めて本気で取り組む必要があるかも知れませんね。
image by: Shutterstock.com