実は「当座のリリーフ戦略」があります。それは、「乱数表(random number table)」を使うやり方です。能力に頼らず、「偶然」に頼るのです。
ご存知のように、「乱数表」は0から9までの数字が、完全にランダムに(無秩序でしかも等確率で数字が登場するように)並んでいる数列です。つまり、次にどの数字が来るか、まったく予測できない順番で並んでいる数字の列です。
予知能力に頼れない以上、そして、敵にはこちらの微妙なサインを見抜く「予測」能力と「キツネとタヌキの化かし合い」能力(かけ引きの能力)が備わっている以上(おそらくは幾ばくかの予知能力も備わっているでしょう)、私たちは「偶然」を味方にするしかないわけです。そこで「乱数表」が役に立ちます。たとえば、こちらがキッカーの場合、乱数表の数字が奇数なら左側に、偶数なら右側に蹴るのです。敵のキーパーにどんな癖があるかとか、こちらが蹴る方向をどのように予測しているかといったことは無視して、ひたすら偶然に従って、こちらが蹴る方向を変えるのです。
偶然に従っているわけですから、たまたま、キーパーの読みとキッカーの蹴る方向が一致してしまう確率は50%あります。しかし、キーパーの読みが外れて、キッカーのボールが見事にゴールする確率も50%あるのです。
これにアスリートの運動能力、たとえばキッカーのシュート能力やキーパーの瞬発力などがプラスされれば、勝てる確率はもう少し高くなるでしょう。つまり、公正なサイコロ(乱数表:偶然を生み出す仕組み)を導入すれば、ギャンブルの「いかさま」を排除することができるわけです。これなら、選手に実力さえあれば「お人悪」を揃えなくても、「キツネとタヌキの化かし合い」対策をしなくてもPK戦で勝てるはずです。
まあ、あくまで「つなぎ」の戦略ですし、あまり面白い作戦でもありませんね。
それよりは、アスリートの皆さんを修行僧や修験者のような一種の「エスパー(超能力者)」にしてしまう方が、はるかに面白いと思います。
それに、実際、ワールドカップで活躍している選手を見ていると、既に「この人、エスパーじゃないの?」と思うような「勘の良さ」や「強運」を感じることがあります。彼らは厳しい闘いの場を潜り抜けることで、自然とそのESPにも磨きがかかってしまったのでしょう。
と、まあ、サッカーを観ていても、ついついおバカなことばかり考えてしまう私です。
(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』より一部抜粋)
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