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天下の愚策。岸田首相の「日本経済を破滅に導く増税」を阻止する方法

「新しい資本主義」を旗頭に掲げ経済再生を図るとするも、未だ結果を出せずにいる岸田首相。多くの国民が苦しい状況にあえぐ中にあって、防衛費の財源の一部を増税により賄う方針を示すなど、売りとする「聞く力」が発揮されているとは言い難い政権運営が続いています。このような現状を識者はどう見るのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、増税はコロナ不況とインフレにより苦境に置かれている国民に対する裏切り行為だと強く批判。さらに「日本経済に破滅的影響を与える超愚策」を首相に思いとどまらせる方法を記しています。

日本経済を壊滅させる岸田総理の愚策とは

もうすぐ2022年が終わりますね。はやいもので、モスクワから完全帰国してから5回目の新年になります。28年モスクワに住んで、祖国日本に戻って来た私は、とても幸せです。日本は、自然が美しく、水と空気がきれいで、街は清潔です。日本人は、皆さん礼儀正しく、親切で、心優しい人ばかりです。

とはいえ、日本に戻って4年経ち、「この幸福感を全日本国民が共有しているわけではない」ことがわかってきました。日本には、ある種の【閉塞感】があると思います。何が理由なのでしょうか?私は、三つの理由を思いつきました。

一つは、少子化問題です。日本では、「少子化問題は絶対解決できない」と思われています。国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、日本の人口は、2059年に1億人を割ります。2065年には、8,213万人になるとのこと。日本全国、「出生率をあげることは不可能だから、縮小していくことを前提に将来を考えよう」ということになっています。

実をいうと、これが大間違い。出生率をあげることは可能です。メインテーマではないので、ここでは触れません。興味がある方は、7年前に書いたこの記事をご一読ください。

【関連】日本以上に深刻な少子化問題を解決した、ロシアの大胆な「奇策」

もっと詳しく知りたい方は、拙著『日本の生き筋 ~ 家族大切主義が日本を救う』をご一読ください。

日本の閉塞感、二つ目の理由は、労働環境です。

日本は、先進国の中では、ひどい低賃金、長時間労働です。しかし、私が日本に引っ越してきた2018年以降、二つの理由で労働環境が改善されています。一つは、いわゆる「働き方改革」。「働き方改革関連法」は、時間外労働について、「繁忙期には単月で休日労働を含み100時間」までOKという、かなり残酷な法律。しかし、政府が「働き方改革!働き方改革!」と叫びつづけていたので、「残業が減った」という人だらけになりました。

労働環境が改善されたもう一つの理由は、「新型コロナパンデミック」です。これで、テレワークが一気に普及しました。先日、某IT企業の社員と話したところ、「今年出社したのは、5回だけです。だいたい2か月に1度のペースです」とのことでした。商社の友人は、「だいたい週2で出社」といっていました。新聞社の知人は、「基本家」とのこと。出版社の知人は、「出社してもしなくてもいい」とのこと。

世の中には、出社しなければ仕事ができない人もたくさんいます。しかし、出社しなくても仕事できる人が出社するのは、時間とお金の無駄でしょう。通勤で、往復2時間も無駄にするのは、本当にもったいな
いことです。1週間で10時間、1か月で40時間、1年で480時間の無駄。480時間は、労働日60日分に匹敵します。できることなら、通勤せずに家で仕事をした方がいいでしょう。コロナが終わっても、テレワーク文化が定着することを心から願っています。

さて、日本を覆う閉塞感3つ目の理由は、【重税】です。いろいろな人に話を聞きますが、収入の高い人も低い人も、皆さん口をそろえて、「税金が高すぎる!」といいます。それで、知人のネット長者たちは、税金のやすいシンガポールなどに逃げてしまいます。シンガポールの最高税率は22%。一方、日本の最高税率は、所得税+市民税で55%。年収1億円の人が日本に住んでいれば、5,500万円税金をとられる。シンガポールだと2,200万円で、その差は3,300万円にもなります。

最高税率55%は、「五公五民」の江戸時代よりひどいですね。歴史的に見ても、「金持ちが逃げ出す国は衰退する」ので、日本の税制はかなりヤバイといえるでしょう。

消費増税が「暗黒の30年」の原因

日本は、「暗黒の10年」「暗黒の20年」「暗黒の30年」などといわれます。90年代、2000年代、2010年代で30年。一人当たりGDPが1991年の世界4位から27位(2021年)まで下がっている。だから「暗黒の30年」といえるのではないでしょうか。

なぜ、こんなことになったのでしょうか?いろいろ原因はあるでしょう。増税、具体的にはタイミングの悪い消費増税が「暗黒の30年」の大きな理由だろうと思います。

消費税は1989年に導入されました。当時の税率は3%。当時は、バブル景気の真っ最中。ですから、タイミング的に悪くなかったと思います。

問題は、その後です。日本のバブル崩壊は1991年とされています。しかし、その後も経済は少しづつ成長していました。GDP成長率の推移を見てみましょう。

90年:4.89%
91年:3.42%
92年:0.85%
93年:マイナス0.52%
94年:0.88%
95年:2.63%
96年:3.13%

これを見ると、バブル崩壊の影響は93年のマイナス0.52%が底で、その後徐々に成長が加速していることがわかります。しかし、

97年:0.98%
98年:マイナス1.27%
99年:マイナス0.33%

回復基調にあった日本経済に何が起こったのでしょうか?そう、97年に消費税率が3%から5%に引き上げられたので
す。

日本経済は、バブル崩壊から回復に向かい始めていた。政府は、そんな日本経済にドロップキック(消費増税)を食らわせて成長を止めてしまったのです。橋本総理は、自分の愚かな決断を、大いに悔いたそうです。

さて、次に消費税率が引き上げられたのは2014年です。安倍総理の時代。税率が5%から8%に引き上げられました。日本では2012年から2013年、アベノミクスへの期待がとても大きかったのです。安倍さん1年目の2013年、GDPは2%成長しました。日本にとっては、立派な数字です。

ところが消費税が引き上げられた2014年、GDP成長率は、0.3%になってしまいました。日本政府はまたもや、復活に向かって歩きはじめた日本経済にドロップキックをくらわしたのです。その後は、どうでしょうか?

2015年:1.56%
2016年:0.75%
2017年:1.68%
2018年:0.64%

パッとしない数字が並んでいます。

そして2019年、消費税率は8%から10%に引き上げられました。結果、2019年のGDP成長率は、マイナス0.36%。2020年、マイナス4.62%。これはもちろん、コロナの影響です。しかし、消費税率を引き上げたことも、大きな理由なのです。

ちなみに2019年10月12月期のGDPは、前期比マイナス1.8%、年率換算マイナス7.1%でした。まだ、新型コロナパンデミックがはじまっていなかったので、これは消費税率引き上げの影響です。

私は何がいいたいのか?

日本経済は、消費税率引き上げによって、【暗黒の30年】になったのです。もし、1997年、2014年に消費税率が引き上げられなかったら、日本経済はとっくに復活していたでしょう。

「賃金を上げる!」と登場し「税金を上げる!」岸田総理の裏切り

皆さん、2020年、2021年、2022年は大変でした。2020年と21年は、新型コロナパンデミックで大変でした。2020年のGDPはマイナス4.62%。まさに、「新型コロナ大不況」です。2021年は、1.66%。回復は、緩やかです。2022年は、ウクライナ戦争で、食糧、エネルギー価格が上がり、インフレになりました。食品、電気料金などが上がり、国民の生活を圧迫しています。

さて、岸田さんは2021年10月、総理大臣に就任しました。スローガンは「新しい資本主義」です。よくわかりませんが、とりあえず「賃金を上げる!!!!!!!」ことを強調しました。多くの人が、期待したことでしょう。賃金が上がれば、消費が増える。消費が増えれば、生産が増える。生産が増えれば、所得が増え、また消費が増える。そういう好循環が生まれるかもしれません。

しかし、岸田さんは、新型コロナ大不況と、インフレでボロボロになった日本国民に、ドロップキックをくらわそうとしています。

そう、岸田さんは、【 増税 】を画策しているのです。名目は、「防衛費を上げる財源を確保すること」です。具体的にはどんな増税を画策しているのでしょうか?時事12月12日。

政府・与党は12日、防衛費増額のための税財源について、法人税で必要額の7割程度を確保する検討に入った。たばこ税増税のほか東日本大震災の復興に使われている「復興特別所得税」の活用も想定。2024年度から段階的な増税を実施し、27年度までに1兆円強の税収増を目指す。予定を1日延期し、16日に決定する23年度与党税制改正大綱に盛り込む。

 

財源1兆円強の内訳は現時点で、基幹税である法人税7,000億~8,000億円、たばこ税2,000億~3,000億円。これに復興特別所得税の4割に相当する2,000億円程度を充てる案が浮上。富裕層に負担を求める構想も取り沙汰される。

まとめると、

法人税率が上がったら、会社は、従業員の給料を上げられなくなるでしょう。法人税率が上がったら、会社は、製品の価格を値上げしなければならなくなるでしょう。

政府は、「抵抗が少ない」と見て、法人税を上げたいのでしょう。しかし、結局、従業員も消費者も影響を受けることになるのです。

岸田さんは、「賃金を上げる!」といって登場し、「賃金を上げずに、税金上げる」。

「賃金を上げずに、税金上げる」
「賃金を上げずに、税金上げる」

これは、国民に対する裏切りです。

そして、新型コロナ大不況からようやく立ち直りつつある日本経済に破滅的影響を与える超愚策。読者の皆さん、是非総理官邸に意見メールを送ってくださ
い。総理官邸への1,000通のメールは、10万人のデモ並みに効果があります。

国民の反発を実感した岸田さんが、考えを変えるかもしれません。

総理官邸メールはこちら。

ご意見募集(首相官邸に対するご意見・ご感想)

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年12月13日号より一部抜粋)

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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