中国の2023年は【進むも地獄】【退くも地獄】
中国は、「ゼロコロナ政策」で、感染爆発を抑えることに成功していました。その代償は、「厳しい行動制限」です。読売テレビ11月30日で、北京駐在・森本隼裕(はやゆ)記者が、現地の生活について話していました。
Q.中国では新型コロナの感染が広がっているということですが、何をするにもPCR検査を受けるということでは、無症状の人を含めるとある程度の人数は出てきますよね?
(森本記者)
「そうですね。これだけ毎日のようにPCR検査を受けさせられているので、当然あぶり出されてしまいますし、それで一人でも感染者が出れば、その地域一帯の人がまとめて封鎖されてしまうという状況がもうずっと続いていますので、本当にストレスの多い生活状況になっています」
Q.森本記者も、1日に1回ぐらいのペースでPCR検査をしているのですか?
(森本記者)
「毎日受けなければいけないという決まりはないのですが、実際の所、私たちが取材で行く中国当局の関連施設や一般の商業施設でも、『24時間以内あるいは48時間以内の陰性証明が必要だ』と言われることが多いので、やはり1日に1回、あるいは2日に1回検査を受けるのが当たり前になっています」
毎日のようにPCR検査を受け、陽性の人がでるたび、その地域一帯が封鎖される。これが大変なストレスであること、私達でも想像できます。
しかし、ワールドカップの観客席を見ると、「超密」で誰もマスクをしていない。中国の民が、「俺たちは3年も厳しい行動制限に耐えているのに、なんで他の国の民は、完全自由を謳歌しているのだ?!」と不満に思っても仕方ありません。
そして、「ゼロコロナ政策」の問題は、おそらく「永遠に終わらない」ということなのです。だから、中国政府が、「ウィズコロナ政策」の舵をきったのは、「不可避だった」といえるでしょう。
ところが、問題は、「ウィズコロナ」にすると「感染爆発が起こる」ということです。そして、それはもう起きているようです。時事12月17日。
新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策が破綻した中国で、感染拡大に伴い死者が急増しているもようだ。
中国政府の17日までの公式発表では、コロナによる死者は連日「ゼロ」だが、インターネット交流サイト(SNS)上では、混み合う火葬場の様子が投稿されている。
台湾メディアによると、北京市東部の火葬場の外では、遺体を乗せた車が長蛇の列を成し、火葬場は14日以降、24時間体制で稼働。死者の多くは高齢者で、施設の遺体安置所も満杯だという。北京と同様に「感染爆発」が起きているとされる河北省石家荘市でも、火葬場外に車の列ができている様子がツイッター上に流れている。
中国の民は2023年、日本や世界が2020年に体験した恐怖を味わうことになります。私は、別に中国の民に悪いことを望みませんが、客観的に考えるとそうなります。
日本、12月17日の新規感染者数は15万8,000人だそうです。
中国の人口は、日本の約11倍。ということは2023年、中国で「今日の新規感染者数は173万人です!」というようなことが起こってもおかしくありません。だからといって、「またゼロコロナ」にすれば?今度は、大暴動が発生するでしょう。
まさに、【進むも地獄】【退くも地獄】。
中国、2023年は苦しい年になりそうです。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年12月18日号より一部抜粋)
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