中長期シナリオ結論(2022/12/18時点)
(毎号最後に掲載します。変える必要がないと考えている間は、まったく変えません。)
1)2023年初から夏場辺りにかけての展望
2023年に入っても、連銀は(利上げ幅をある程度縮めるとしても)まだしばらく利上げを続けよう。これは、遅れて動く物価指標を確認しながら、連銀が手探りで金融政策を運営せざるを得ないからだ。
このため、米国で利上げによる景気抑制効果が累積され、2023年前半は米国経済が本当に後退に陥り、一度主要国の株価が大きく下振れする局面が生じよう(企業業績悪化による株価下落)。また、米長期金利は景気動向や金融政策を先取りして動くため、2023年前半は、短期金利が利上げで上昇しながら、長期金利が景気悪化予想から低下する、という動きが進むだろう。米ドルも対主要通貨で下落し、世界的に経済が悪化すれば他通貨も対円で軟化する(円の全面高となる)ものと懸念される。
ただ、こうした景気後退は、原因が明らかだ(米国などにおける利上げによるもの)。したがって、「〇〇ショック」「〇〇危機」と呼ばれるようなものにはなりにくいだろう。 具体的な2023年の安値(おそらく7~8月辺りの時期)は、日経平均株価が25000円、ニューヨークダウが30000ドルと見込む。日米ともに、株価指数は2022年の最安値に迫るがそれを下回らない、との見通しだ。米長期金利の2023年半ば辺りの最低値は2.5%、米ドル円相場の最安値は125円を予想する。
こうした株安、米長期金利低下、外貨安・円高の流れが止まって反転するには、米連銀の再緩和を待つこととなろう。
2)2023年夏場当たりから数年単位の展望
長期的には、世界経済の拡大基調を見込むため、株価の上昇軌道を予想する。外貨相場も対円で強含み推移をたどるだろう。
投資家は、2023年夏場辺りと見込む世界株価や外貨相場の安値が「実現してから」リスク資産を投げ売りすることは、避けるべきだ。長期的な展望を抱いて、着実にリスク資産への投資を積み上げていくべきだろう。
image by: Ministry of Finance (GODL-India), GODL-India, via Wikimedia Commons