中小企業の“老化”を早める、間違った「売上至上主義」4つの問題点

Government budget / public spending concept : Dollar bag, coins, color wood bar graph on a table, depicts the increment in annual financial budget or revenues that government collects from tax payer.Government budget / public spending concept : Dollar bag, coins, color wood bar graph on a table, depicts the increment in annual financial budget or revenues that government collects from tax payer.
 

利益よりも売上を重視する「売上至上主義」。これを中小企業がやりだすとどうなるのでしょうか。今回は、メルマガ『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者で事業再生コンサルタント、作家、CTP認定事業再生士の顔を持つ吉田猫次郎さんが、 その仕組みと懸念事項について語っています。

売上至上主義に走るとどうなるか!?

売上至上主義とは、要するに、利益よりも売上を重視する経営方針です。例えば、10億円の売上高を達成するために11億円の経費をかけているような、そんな図式ですね。

売上のことを英語でsales amount とかamount of sales とかgross incomeなどと言いますが、このほかに、TOP LINE という言い方もあります。損益計算書(profit and loss statement)の一番上の行に書き記されているから top line と言うのでしょうか、語源はよくわかりませんが、まあとにかく、トップラインと称されるくらい、売上高は大事なことは確かです。

人間でいえば、売上高は食事に相当します。利益は栄養ですね。

しかし、何事もバランスが大事。サッカーの試合でも攻守のバランスが欠かせないのと同じで、攻め(売上追求)ばかりで守り(経費節減や管理会計など)を怠ると、試合に負けてしまいます。では、売上至上主義に走ってしまうと、どうなってしまうのでしょうか?

人間の健康に喩えれば、売上至上主義は食事至上主義のようなものです。食べてばかりいて、健康が伴わない状態と言えるでしょう。

会社経営でいえば、売上至上主義に走ると、次のようなことが懸念されます。

1.資金不足

これが最も懸念される点です。売上を伸ばすためには、仕入れを増やしたり、在庫を増やしたり、店舗数を増やしたり、人員を増やしたり、なにかと資金がかかります。また販売費一般管理費(とりわけ販売費)が多くかかります。利益率が高ければそれでも回るのでしょうが、薄利多売で売上至上主義に走ると、いたずらに運転資金ばかりかかる体質になり、その割には金融機関からの資金調達がうまくいかず、資金不足に陥るおそれがあります。

2.成長の伴わない拡大

「拡大」と「成長」は違います。利益の伴わない売上拡大は、いわば肥大化のようなものと言えるでしょう。そういうのは、金融機関や投資家も容易に見抜きますから、きっと資金調達もうまくいかなくなるでしょう。

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