中小企業の“老化”を早める、間違った「売上至上主義」4つの問題点

Government budget / public spending concept : Dollar bag, coins, color wood bar graph on a table, depicts the increment in annual financial budget or revenues that government collects from tax payer.
 

3.疲弊

売上は食事のようなものですが、食べ過ぎは内臓を疲れさせます。会社もしかり。売上至上主義に走ると、内部が疲弊します。営業・販売の最前線にいる人はクタクタになるでしょうし、仕入や製造に携わる人も同様です。また、経理や財務を担当する人も、ストレスが増え、こうして社内が次第にぎくしゃくしてしまうでしょう。

4.自滅

よほど緻密な計数計画を立てない限り、上記1.2.3.のような事が重なり、いつか自滅してしまうでしょう。創業期~成長期のソフトバンクや楽天のような成功例もありますが、あれは相当に頭の良い人達が周到に計画を立てた結果です。中小企業の場合、こう言っては失礼ですが、孫さんや三木谷さんみたいに一流大学やMBAを出ているわけでもないし、優秀なブレーンが何人もいるわけでもありません。資金調達の引き出しもせいぜい銀行か信金か公庫さんくらいしかありません。そんな脆弱なベースの中、売上至上主義に走ってしまったら、勝ち目はまずないでしょう。自滅するのは時間の問題です。

カネのない中小企業だから、やはり、売上より利益を!

過度な売上を求めないこと。「拡大」よりも「成長」。

資金調達の引き出しが少ない中小企業ですから、これしかありません。

売上をさほど求めなければ、運転資金は必要最低限で済みます。シェア取り合戦や価格競争に巻き込まれず、ニッチな分野で生き残れば、社内が疲弊することもなく、長続きするはず。

ただ、売上拡大と違って、利益を出すことは、知恵を使います。相当、頭を振り絞らないといけません。

売上拡大はどちらかといえば「行動ありき」で、勢いがあれば実現できますが(きつい言い方をすればバカにでもできますが)、利益はそうはいきません。知識、知恵、勇気、行動力。これらを総動員しなければ達成できないでしょう。

これが中小企業の生きる道です。

image by: Shutterstock.com

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事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。特に倒産寸前の中小企業、零細企業、自営業の自力再生(のサポート)を最も得意としています。著書『震災後に倒産しない法』(サンマーク出版)、『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)、『連帯保証人 なってみたらすごかった でもまだ手はある』(ワニブックスPLUS新書)、『ブラックリストなんて怖くない』(宝島社)、『働けません。』(三五館)ほか多数。1968年東京生。乙女座A型。趣味は自転車、魚釣り等。無類のネコ好き。

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