アメリカの政界工作か。「国民民主の連立政権入り」情報の裏側

 

公明党はどうなる? 創価学会の集票力懸念

気になるのは、自民党と公明党との関係。振り返れば、今年の年明けごろ、両党の関係は最悪だった。

「前回3年前の参議院選を振り返ると、選挙があった前年の年末には自公の間で選挙協力の協定が交わされていた。我々が埼玉、神奈川、愛知、兵庫、福岡の5選挙区の推薦を自民党に求め、自民党に対しては1人区を中心として公明党が推薦するということだったが、現状、自民党の中で5選挙区についての理解がなかなか進んでいないと。調整が難航しているということについては、大変残念なことであると思っている」

1月14日の定例会見で、公明党の石井啓一幹事長はこう述べた。

問題は、「平和」を最大の理念に掲げる創価学会が、自民党の片棒を担ぐ公明党をどこまで“支え続けるか”という、“自公連立”の最大のアイデンティティに行きつく。

第二次安倍政権下で起こったできごと、戦後最大の転換点ともいってよい集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更も、憲法学者にそろって違憲と断罪されようとも公明党は安倍政権を支援し続けた。

しかし、このことに対して、公明党の支持母体である創価学会から反対する声が上がったのはいうまでもない。

一方で、最近では公明党の“集票力”も落ちている。創価学会の選挙運動の力の入れ方には、その時々によりばらつきがあり、常に学会員が公明党や自民党の候補者を支えているわけでもない。

アメリカの政界工作の可能性も

論点は、この政界工作にアメリカが一枚かんでいる可能性があることも捨てきれないこと。自民・民社党ともに親米保守色を帯びているのが特徴。

アメリカの国務省の資料によると、CIA(米中央情報局)は1950~60年代、日本の左派勢力を弱体化させて保守政権の安定化を図るため、岸信介、池田勇人両政権下の自民党の有力者らに秘密資金を提供し、民社党の結成も促していた。

「親米で責任ある野党」の出現を目指していたという(*7)。

最近では、2009年の小沢一郎氏の民主党代表辞任の一連の出来事も、アメリカが一枚かんでいたとされる(*8)。

問題をより複雑にしているのが、統一教会の影響力がアメリカにも及んでいること。

旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」のサイトによると、昨年9月の集会では安倍晋三元首相とともに、トランプ前大統領もメッセージを寄せていた(*9)。

「思想新聞」をたどると、50年前以上から共和党の面々とつながりがあることがわかる。

ことの本質は、自民党がそもそも“自己決定権”など持っていないこと。統一教会や、アメリカ政府の面々に“左右されながら”その時々の政策を実行しているにすぎない。

引用・参考文献

(*1)東京新聞「こちら特報部」2022年12月6日付朝刊

(*2)東京新聞「こちら特報部」

(*3)東京新聞「こちら特報部」

(*4)東京新聞「こちら特報部」

(*5)東京新聞「こちら特報部」

(*6)東京新聞「こちら特報部」

(*7)東京新聞「こちら特報部」

(*8)NEWS ポストセブン「小沢一郎氏 失脚の引き金となった2009年2月の発言とは?」2012年10月12日

(*9)東京新聞「こちら特報部」2022年11月16日付朝刊

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年12月25日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

初月無料で読む

 

初月無料購読ですぐ読める! 12月配信済みバックナンバー

※2022年12月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、12月分のメルマガがすべてすぐに届きます。

  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月25日(日)号 国民民主党、連立入り? 自民と国民、共鳴する”民社党”の遺伝子 統一教会との関係も 公明党はどうなる? 創価学会の集票力懸念(12/25)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月24日(土)号ディズニー&ジェームズ・キャメロンVS和歌山・太地町&二階俊博 映画「アバター」続編で対立の火ぶたが切って落とされる なぜ日本はイルカ漁に固執するのか? 結局は”利権”目当てか?(12/24)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月18日(日)号 防衛省が”ステマ”工作研究? 自称インフルエンサー、所詮は利用される運命(12/18)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月17日(土)号 どうなる? サッカーW杯2026年大会 48カ国が参加 グループステージは3試合から2試合へ 高騰する放映権料 もはや“有料”放送が当たり前?(12/17)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月11日(日)号 旧統一教会と地方議員の”接点”明らかに 一方、障害者支援施設SANCYO/TANOSHIKAの嘉村裕太は、精神障害者に対し、「政治に文句をいうなら統一教会の支援を受けて政治家に立候補せよ」と圧力 福岡県大川市長倉重良一・久留米市長原口新五も同調(12/11)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月10日(土)号 どうなる、岸田首相の行く末は? 退陣? 早くても年内まで?  「検討使」の裏で着々と右翼政策は実行  自民、国民民主と連立?(12/10)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月4日(日)号 防衛費増額 有識者会議にメディア関係者  法人税増税盛り込まず 自民党とマスコミ(12/4)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月3日(土)号 政治問題化するサッカーW杯 なぜカタールへの招致が決まったのか? カタールと日本 カタールで起きていることは、未来の私たち 地球温暖化とスポーツ(12/3)

いますぐ初月無料購読!

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。

2022年11月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月27日(月)号(11/27)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月26日(土)号(11/26)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月20日(日)号(11/20)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月19日(土)号(11/19)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月13日(日)号(11/13)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月12日(土)号(11/12)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月6日(日)号(11/6)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月5日(土)号(11/5)

2022年11月のバックナンバーを購入する

2022年10月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月30日(土)号(10/30)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月29日(土)号(10/29)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月23日(日)号(10/23)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月22日(土)号(10/22)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月16日(日)号(10/16)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月15日(土)号(10/15)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月9日(日)号(10/9)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月8日(土)号(10/8)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月2日(日)号(10/2)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月1日(土)号(10/1)

2022年10月のバックナンバーを購入する

2022年9月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月25日(日)号(9/25)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月24日(土)号(9/24)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月18日(日)号(9/18)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月17日(土)号(9/17)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月11日(日)号(9/11)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月10日(土)号(9/10)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月4日(日)号(9/4)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月3日(土)号(9/3)

2022年9月のバックナンバーを購入する

2022年8月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月28日(日)号(8/28)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月27日(土)号(8/27)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月21日(日)号(8/21)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月20日(土)号(8/20)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月14日(日)号(8/14)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月13日(土)号(8/13)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月7日(日)号(8/7)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月5日(土)号(8/6)

2022年8月のバックナンバーを購入する

2022年7月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月31日(日)号(7/31)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月30日(土)号(7/30)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月24日(日)号(7/24)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月23日(土)号(7/23)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月17日(日)号(7/17)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月16日(土)号(7/16)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月10日(日)号(7/10)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月9日(土)号(7/9)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月3日(日)号(7/3)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月2日(土)号(7/2)

2022年7月のバックナンバーを購入する

2022年6月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月26日(日)号(6/26)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月25日(土)号(6/25)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月19日(日)号(6/19)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月18日号(土)(6/18)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月12日号(6/12)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月11日号(6/11)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月5日号(6/5)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月4日号(6/4)

2022年6月のバックナンバーを購入する

image by: 玉木雄一郎 - Home | Facebook

伊東 森この著者の記事一覧

伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版) 』

【著者】 伊東 森 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

print
いま読まれてます

  • アメリカの政界工作か。「国民民主の連立政権入り」情報の裏側
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け