プーチン、習近平、金正恩。2023年に世界が“制止”すべき暴挙は?

 

習近平の「台湾侵攻」を止められるか?

2023年、2番目のテーマは、「台湾侵攻を止められるか?」です。

この件で、「アメリカは、中国が台湾に侵攻するように煽っている」という人たちがいます。つまり、「アメリカが台湾有事を望んでいる」と。実際は、全然違います。習近平が台湾侵攻に踏み切る条件は何でしょうか?

  • 欧米と日本が弱いので「台湾に侵攻しても大丈夫」と考えたとき。

ですが、台湾侵攻時の欧米日の反応を、どうすれば知ることができるでしょうか?「モデルケース」がありますね。ロシアによるウクライナ侵攻です。

結果、ロシアが勝利してプーチン政権が安泰であれば?習近平は、「ウクライナに侵攻したプーチンはサバイバルできた。俺が台湾に侵攻しても、サバイバルできるだろう」と考え侵攻するリスクが高まります。だから、プーチンを敗北させることは、習近平に台湾侵攻を思いとどまらせる効果があるのです。

習近平が台湾侵攻に踏み切る二つ目の条件は、「引っ込みがつかなくなった時」です。たとえば蔡英文さんが、台湾独立を宣言すれば?習近平は、日本や欧米の反応はどうあれ、独立を止めるために台湾に侵攻せざるを得なくなるでしょう。

だから、もしバイデン政権が「台湾有事」を望んでいるのなら、それを起こす簡単な方法がある。蔡英文さんに台湾独立を宣言させ、欧米と日本が台湾を国家承認すればいい。これをやれば、確実に台湾有事がはじまります。しかしバイデンは、やりません。

アメリカの基本的対中政策は二つです。

  • 中国の台湾侵攻に反対
  • 「一つの中国の原則」を支持

つまり、アメリカは、1970年代に米中で合意したように、台湾を独立国家として認めていないのです。もしアメリカが台湾を独立国家として認めれば、習近平が台湾に侵攻する可能性が高まるからです。

バイデン政権は、何を考えているのか?

  • 中国の台湾侵攻に反対

これは、「中国が台湾に侵攻したら、習近平も中国も大変なことになるぞ!」という脅しです。侵攻を思いとどまらせる効果。そのために、クワッド、AUKUS、IPEF、民主主義サミットなどによって着々と「反中包囲網」を築いています。

それでも確信がもてないので、バイデンは、「中国が台湾に侵攻すれば、アメリカが台湾を守る!」これまで3回明言しています。習近平は、「台湾に侵攻すれば、アメリカと戦うことになるな」と考えざるを得ません。

  • 「一つの中国の原則」を支持

その一方で、バイデン政権は、習近平が侵攻を決断せざるを得ない状況に追い込まないよう、注意しています。具体的には、「一つの中国の原則を支持する」という。

バイデン政権の戦略は、基本的な「バランス・オブ・パワー戦略」であることがわかるでしょう。アジアは、中国が強くなりすぎてバランス・オブ・パワーが崩れている。だから、アメリカは、クアッド、AUKUS、IPEF、民主主義サミットなどで反中包囲網を築き、バランス・オブ・パワーを回復させていきます。その一方で、中国がバランス・オブ・パワー破壊に動かないよう、「一つの中国の原則を支持」というのです。バイデン政権の動きはすべて、「アメリカが中国の台湾侵攻を望んでいない」ことを示しています。

しかし、問題は中国国内です。中国は2021年10月に起こった「恒大ショック」から不動産バブル崩壊の過程にあります。さらに、「ゼロコロナ政策」をやめたことで、感染爆発が起きている。

中国経済は、江沢民、胡錦涛の時代と比べれば、ほとんど成長しない。自慢の「ゼロコロナ政策」は破綻した。なすすべなしになった独裁者が、侵略によって支持率を高めようとすることは、よくあることです。

※ 例:クリミア併合とウクライナ侵攻で支持率を爆騰させたプーチン

今年は、「習近平に台湾侵攻を決断させない戦い」がつづきます。

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