言い値で武器買う“飼い犬”にご褒美。バイデンが岸田首相を大歓迎した裏事情

 

安倍晋三氏は野党時代に、外務・防衛官僚の組織的サボタージュで身動きがとれない鳩山政権の姿を見て、米国に取り入ることこそが政権維持のカギだと確信を深め、ジャパンハンドラーといわれる知日派米国人やトランプ前大統領らとの蜜月関係を築いていったと思われる。

そして今、米国における安倍氏の地位を継ぐべく岸田首相がワシントンに詣でて、43兆円の朝貢外交におよんだのである。それに対するバイデン大統領の“返礼”は、この言葉だった。

「米国は日本の防衛に完全かつ徹底的にコミットしている」

これさえ言えば、日本の首相は魔法にかかったように納得することを米側は心得ている。

国会で審議もせずに防衛政策の大転換方針を決め、すぐさまワシントンに飛んで米大統領から「よくやった」とばかりに歓待を受け、成功、成功と手を叩いて帰ってくる。日本国内では「岸田という『あまり頼りない』と言われた人の下で1年半、間違いなく日本は世界の中で、その地位を高めつつある」と惚けたことを言う麻生自民党副総裁のような人が待ち受ける。これで本当に日本の安全が保たれると自信を持って言えるのだろうか。

もとより良好な日米関係は日本外交の基本である。その首脳会談について中国政府は「茶番だ」と罵るが、事実より政治宣伝が優先される国に言われる筋合いはない。しかし、やみくもに米国の軍事戦略に追従し、中国との敵対関係を強めた挙句、米国に梯子を外されるようなことになったら、どうするつもりなのか。

ロシアのウクライナに対する非人道的な振る舞いを見て、中国や北朝鮮への恐怖がつのる心情は誰しも同じだ。世論調査で防衛力強化に賛成する人が半数近くを占めるのはそのために違いない。だが、軍拡競争の先には徴兵制の復活もありうるだろう。いざ有事となれば、高みの見物ではすまない。

この記事の著者・新恭さんのメルマガ

初月無料で読む

 

image by: 首相官邸

新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧

記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 国家権力&メディア一刀両断 』

【著者】 新恭(あらたきょう) 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 木曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 言い値で武器買う“飼い犬”にご褒美。バイデンが岸田首相を大歓迎した裏事情
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け